こうした背景の中、米中貿易摩擦は基本的に米国経済のトレンドにあまり影響していないと神山氏は分析している。「何でも貿易摩擦のせいにしがちだが、米国経済はサイクルが緩んでいるところ。米政権は(経済を)壊さないように丁寧にやっている。実際、データを見ると経済は壊れていない。壊れているのはサーベイ、アンケート、センチメントだ」
米国経済のトレンドを長期的に見ると、まず雇用が増えている。リーマンショックの落ち込み後、2014年5月頃にはリーマンショック以前の状態に戻り、そこから上昇が続いてきた。そして、時間あたり賃金も上昇してきた。その結果、米国の小売売上高も堅調だ。
「雇用が増えた、そして賃金が上がったので小売売上が上がる。需要総量が増えている。これが加速したのが2016年くらいから。直近は、前年同月比で見ると後退しているが、水準そのものは下がっていない」
需要が増加しているため、米国の輸入額も高止まりしている。「18年3月ごろから関税が上がった。関税が上がっても輸入が大きく減っていない。これが、貿易摩擦が経済のデータには影響を与えていないという意味だ」
関税は上げたが、トランプ政権は法人税減税を実施済み。そして全体としては財政政策は緩和的だ。全体として、「消費が順調で、設備投資が順調なら、GDPの成長率はネガティブにならない」
ただし「(景気後退)懸念があるから設備投資をしないという話は強くなっていきそうだ。それでも米政府が、GDPへのインパクトの極小化しようとしている姿勢は続くだろう」
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