関東圏鉄道各社のアプリに見る、利用者への接し方戦略スマホにも、鉄道を(3/5 ページ)

» 2019年10月26日 06時53分 公開
[小林拓矢ITmedia]

沿線住民の利便性をとことん追求した東急線アプリ

 東急電鉄のアプリは、バスとの連携や、改札の混雑が見える「駅視-vision」、早朝利用などでもらえる「グッチョイクーポン」などが特徴的だ。もちろん、運行情報や列車走行位置の情報も充実している。

 東急の場合、利用者と事業者の距離が近い。東急は「選ばれる沿線」をほかの鉄道会社に先んじて掲げており、沿線住民に東急のサービスを総合的に利用してもらうことをグループの戦略としている。鉄道だけではなく、バスとの連携もアプリでできるのはそのためだ。

 案内の通知も細かい。先日の台風19号による計画運休の際には、何日も前からひんぱんにお知らせをプッシュ通知しており、計画運休が行われる予定を丁寧に利用者に通知していた。

東急のアプリは使いやすい

 駅の混雑も「駅視-vision」で見えるようになっており、混雑していれば家で待っていようかな、と考えることもできるようになっている。またダイヤ乱れの際の情報提供も分かりやすく、アプリを開いたら路線図とともに問題が起こっている路線を表示するようになっている。これも、東急沿線を選んだ住民に対するサービスを第一に考えていることの現れである。

 沿線住民を第一に考える。「選ばれる沿線」で選んでくれた沿線の人たちにとっては、便利な「東急線アプリ」である。

列車位置情報が面白い小田急アプリ

 小田急電鉄が提供するアプリは、列車の位置情報と運行情報を中心としている。駅の混雑情報や、一部の駅ではトイレの空き情報も提供している。沿線情報などは、別のアプリで提供する。

 位置情報で位置を示しているだけではなく、列車種別も示している。その上トップページにも列車位置情報が表示され、駅の発車時刻も発車標のように並べられている。トップページの列車位置情報は、代々木上原から登戸までの複々線区間ではそのとおりに表示されており、複々線区間の醍醐味を味わえる仕組みになっている。

 小田急は複数のアプリを提供し、沿線住民へのサービスはそちらで提供している。「小田急アプリ」は鉄道情報を充実させ、現実に利用する人に便利な仕様になっている。

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