オフィスビル開発の増加から、東京のオフィスが大人気だと思いきや、実はさらに“オフィスがない”のが各地の地方都市だ。
「2020年に向けて、東京はオフィスの賃料が下向くと見ているが、地方都市は今後、2-3年の間、賃料は上がる。需給がタイトな状況が続く」と大久保氏は見る。大阪などの地方都市では、リーマンショック直後にオフィスの市況が崩れ、賃料が大幅に下落してしまった。さらに2011年以降は建築コストも上昇。そうした背景から、地方都市でのオフィスビル開発は停滞し、かなり長期間、新規のビル開発への投資は東京に集中していた時期が続いたという。
ここ2-3年間で、地方都市でもだいぶ賃料が上がってきた。郊外から都心への回帰が地方都市でも続いているが、ビルがない状態だ。しかし「再開発案件が出てきたのは、この3-4年くらいだ。いま新規開発が始まっても、できあがるのは3ー4年後。立て替えなので、しばらく需給はタイトな状況が続く」(大久保氏)
ちなみに、ビル需要が強い地方都市としては、札幌や仙台、福岡だという。コールセンター需要が高く、通勤しやすい中心部にオフィスを設ける流れだ。
では、2020年の東京オリンピック以後の東京の不動産事情をどう見たらいいだろうか。いくつかの調査では、オフィス賃料も2020年をピークに下落する見通しとなっている。
「先進国でオリンピックをやっても経済には関係ない。オリンピックのためにインフラ開発を行うような国は別だが、東京の場合はすでにインフラがあるところでオリンピックをやる。賃料のピークが2020年という予想は、単純に供給の見立てと、経済の見立てからだ」(大久保氏)
ではそんな2020年以後、発展するポテンシャルのある街はどこなのか。大久保氏は、日本の場合は、経済の状況によってビルを建てたり止めたりするわけではないと説明する。特に東京の場合は、用地次第。大規模な開発に適した用地があるかどうかだ。
大久保氏は、用地の観点からポテンシャルのある街として、品川駅の西側の地域を挙げる。「西武のホテルがあり、京浜急行が持っている用地も多い。再開発のストーリーを描きやすい」
【訂正:2019年11月7日 用地保有企業名が誤っていました。正しくは京浜急行です。訂正いたしました】
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