お店のミライ

日高屋グループの「焼鳥日高」が担う重要な“使命”とは? 省人化と満足度を両立させる戦略にも迫る飲食店を科学する(1/5 ページ)

» 2019年11月06日 05時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]

【連載】飲食店を科学する:

 立地、メニュー数、原価率、回転率、利益率――飲食店の経営には、数字やロジックを積み上げて戦略を練る作業が欠かせない。人気になっているチェーン店や、すっかり定着しているが業態の裏側にあるノウハウを分析していく。


 皆さまこんにちは。飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント代表の三ツ井創太郎です。本連載では、皆さまが日頃なんとなく利用したり、見たりしている飲食店のビジネスモデルやマーケティング戦略を、分かりやすく解説していきます。よろしくお願い致します。

 大手ラーメンチェーン「熱烈中華食堂 日高屋」。この日高屋の運営会社が、第2の事業の柱として焼き鳥業態を展開していることをご存じでしょうか? お店の名前は「焼鳥日高」。立ち飲みスタイルの大衆焼き鳥酒場で、客単価はなんと1300円。店内のメニューはほとんどが200円台という驚きの安さです。この焼鳥日高のビジネスモデルを筆者が現地調査も行いながら分析していきます。

「立ち飲み」を掲げる焼鳥日高

外食チェーンで高収益を誇る

 まず日高屋や焼鳥日高などを展開する「ハイデイ日高」の概要について解説していきます。同社は1973年2月に現取締役会長の神田正氏が埼玉県さいたま市に5坪の中華料理店「来々軒」を創業したのが始まりです。

 その後、東京の繁華街に出店した「新宿ラーメン館歌舞伎町店」などを成功させます。都心繁華街への出店を加速することで順調に店舗数を増やし、2002年に低価格ラーメンを提供する「日高屋」1号店を新宿エリアにオープン。02年12月には100店舗を達成します。05年には東京証券取引所二部、06年には東京証券取引所一部に上場しています。そして、19年2月期決算においては売上高418億円、経常利益46億円、店舗数429という一大チェーンとなっています。

 同社の特徴として、収益性の高さが挙げられます。16期連続で増収増益を達成しており、過去10年間は営業利益率10%超えを実現しています。約90社ある外食上場企業の中でも、営業利益率10%を超えているのは、同社を含めて数社しかありません。

 ハイデイ日高は、中期的な取り組みとして、首都圏を中心に600店舗まで拡大する方針を打ち出しています。その拡大戦略において日高屋に次ぐ第2の柱として期待されているのが焼鳥日高なのです。

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