ヤフー経済圏、主役はやはりPayPayか ZHD川邊社長「数年内に収益化」目指す

» 2019年11月06日 07時00分 公開
[村田朱梨ITmedia]

 10月1日付でヤフーから社名を変更したZホールディングス(ZHD)が、モバイル決済サービス「PayPay」を今後の事業拡大の要として成長させていく考えを明らかにした。同社の川邊健太郎社長は以前から「もう1つのヤフーを作るつもりでPayPayに取り組む」と、PayPayに注力する姿勢を明らかにしていたが、ZHDが11月1日に開いた決算説明会では「投資するからには回収できなければ株主も許容してくれない。数年内には収益化していきたい」と、将来的な黒字化についてコメント。「2020年代のどこかで大きな事業体にしていきたい」と具体的な目標を示した。

photo Zホールディングスの川邊健太郎社長

 PayPayは、2018年10月に提供を始めたモバイル決済サービス。ZHD(当時はヤフー)と通信会社のソフトバンクが設立した合弁会社が運営している。現在は株主にソフトバンクグループも加わっており、グループ企業との連携施策を推進している。19年9月末時点で利用者数は1474万人、加盟店数は154万カ所。1四半期あたりの決済回数は18年度第4四半期(19年1〜3月)と比べて、4.45倍となる9612万回(19年7〜9月)まで伸びたが、 10月は消費増税とポイント還元によってさらに勢いを増し、単月で約8500万回に達したという。

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 川邊社長は「決済サービス単体ではもうからない。その先にマネタイズ装置を持っているかが鍵になる」との見解を明らかにした上で、今後はクレジットカードや銀行といった金融業、オンラインとオフラインをつなげる「統合マーケティングソリューション」などを活用して黒字化につなげるとした。

 現在ZHDでは、ホールディングス体制を生かしてグループ全体のリソースを優先的にPayPayに投入しているという。想定以上にユーザーや決済回数が増えたこともあり、システムの増強や機能改善を急ぎ進めている他、「PayPayモール」や「PayPayフリマ」といった関連サービスでは、利用者拡大に向け、大規模な還元施策やキャンペーンを実施する。

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 また、11月1日には福岡ソフトバンクホークスが管理する「福岡ドーム」の名称を「福岡ヤフオク!ドーム」から「福岡PayPayドーム」に変更すると発表。「スポーツニュースなどで球場名が流れるたびに、PayPayの認知度も上がるのではないか」(川邊社長)と宣伝効果に期待をかける。

 「現金とキャッシュレス決済を比べると、まだまだ現金の利用率が高い上、キャッシュレスの中でもクレジットカードが占める割合が大きく、QRコード決済は数%にすぎない。今すぐ黒字化を目指すというよりも、まずはPayPayを大きく伸ばしてから収益化していきたい」(川邊社長)

 同社が11月1日に発表した2020年3月期第2四半期(19年4〜9月)の連結決算は、売上高が前年同期比4.1%増の4841億円、営業利益が9.0%減の756億円と増収減益だった。Zホールディングスは現在、傘下企業としてYahoo!JAPAN事業を担うヤフーや金融事業を統括するZフィナンシャルを持っており、9月にはファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOを買収し、連結子会社化する方針も明らかにしている。ZOZOTOWNは引き続きZOZOの事業として運営するが、PayPayモールにも出店させる予定だ。

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