一方、リソースの欠損は「目に見えない貧困」であり、それは「慢性的なストレッサー」です。
お金がない、知識がない、情報がない、サポートしてくれる人がいない、相談できる人がいない、気兼ねなく話せる人がいないなど、「カネ」の欠損状態がさまざまなその他のリソースを複合的に欠損させる。その現実は子どもの生きる力に大きく影響します。
2011〜13年に自殺した国公私立の小中高校、特別支援学校の児童生徒約500人について実態を調査したところ、経済的困難で将来を悲観した自殺が5%と、いじめの2%を上回っていることが明らかになりました(文科省調べ)。
つまり、極論を言えば「身の丈に合わせるしかない受験制度」は、貧困世帯の子どもの命をないがしろにするようなもの。延期などではなく廃止にすべきです。
そもそも問題は英語教育にあるのであって、英語試験にあるわけじゃない。どんなに試験を変えたところで問題は解決しません。ぜひとも「まともな考え方」を上級国民の方々にはもっていただきたいと心から願います。
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)。2019年5月、新刊『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)発売。
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