クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
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» 2019年11月11日 07時00分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:ヤリスとトヨタのとんでもない総合力 (1/8)

これまで、Bセグメントで何を買うかと聞かれたら、マツダ・デミオ(Mazda2)かスズキ・スイフトと答えてきたし、正直なところそれ以外は多少の差はあれど「止めておいたら?」という水準だった。しかしその中でもトヨタはどん尻を争う体たらくだったのだ。しかし、「もっといいクルマ」の掛け声の下、心を入れ替えたトヨタが本気で作ったTNGAになったヤリスは、出来のレベルが別物だ。

[池田直渡,ITmedia]

 トヨタのTNGA世代シャシーは、CセグメントのGA-C、FF用DセグメントのGA-K、DからLセグメントのFRシャシーであるGA-L、そしてラインアップ完成の最終章として、グローバル最量販クラスのBセグメント用に満を持して登場したのがこのGA-Bプラットフォームだ。

袖ヶ浦フォレストレースウェイのピットロードに並ぶ新型ヤリス

新旧トヨタのBセグメント

 東京モーターショーで顔を合わせたトヨタ幹部は、筆者に「池田さんにはGA-Cプラットフォームを高評価いただいていますが、私はGA-Bの方が良い出来だと思っています。楽しみにしていてください」と笑顔で言った。

 筆者はGA-Cが完璧だと思っているわけではない(関連記事参照)が、それでも、世界レベルで見てトップクラスの仕上がりであると評価している。それを引き合いに、GA-Bの方が更に上だというのは、相当な自信があるのだと思う。もちろんそれは直接の比較ではなく、それぞれの属するセグメントでの、相対的評価という意味だと思うが、それでも、デビュー前にそれだけハードルを上げられるトヨタの自信に筆者の期待は嫌が上にも高まる。そうして迎えたのは、袖ヶ浦フォレストレースウェイでの新型車、ヤリス・プロトタイプのサーキット試乗会だった。

 恐らく多くの人の一致した見解だと思うが、これまでのトヨタは、全クラスを見渡してもBセグメントの出来が一番悪かった。ヴィッツもアクアも、競合車と比べて、評価するのが可哀想になるというか、書いていて辛くなるようなモノだった(関連記事参照)。

 ダメなものをダメだとはっきり書かないのは、読者に対して不誠実だ。しかし書けば書くでこちらのメンタルも削る。褒めるときは、文字数の都合によってはただ「とても良い」と書いたって構わないが、ダメ出しは、やる以上、論拠を明確にし、正しくはどうあるべきかを定義して、なぜダメなのかを明示しなくてはならない。

 真剣にものづくりをしている人の数年間かけた仕事を否定する以上、それだけの手順を踏むのは書き手としてのマナーだと思う。だから長くなるし、正確を期すれば、傷を正面からえぐることになる。本当にお願いだからいいクルマを作ってほしいのだ。

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