「もっといいクルマ」の掛け声の下、心を入れ替えたトヨタが本気で作ったTNGAになれば、それは出来のレベルが別物になるのはよく分かる。何しろ「どんなクルマに仕立てるか?」という目標というかリファレンスというか、その部分が抜本的に違う。「とにかく音と振動を遮断しろ」とか「燃費を良くしろ」とかだったものが、「いいクルマ」を目指せに変わったのだ。局部評価の集合体から総合的なビジョンへと目標設定が変わったことは大きい。
従来のコンサバ方向から、攻めのスタイルに変わったヤリス。4つのタイヤの踏ん張り感を強めようとする意図が感じられる
シャシーは異様にしっかりしている。過渡域の挙動を綿密に作り込んでいるので、ヴィッツ/アクアのような無様なことになっていない。
あんまり伝わらないと思うが、そのよく動くアシと、正確なハンドリングは、少し前のルノー・クリオ(ルーテシア)を思い起こさせた。ぶっちゃけ、欧州小型車の中で優秀なハンドリングを持つといわれたクルマにどこか似ているという話だ。
乗降性への配慮だといって、上下に押しつぶしたような異形ハンドルだったのを止めて、きっちりと丸くなった。回す操作をするハンドルは丸くて当たり前。革巻きのモデルはドライな質感でなかなか良い
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TNGAの最後のひと駒であるGA-Bプラットフォームが、今回、ヴィッツの後継車となるヤリスに導入される。筆者は15年のTNGA発表まで、トヨタのクルマをほとんど信用していなかった。TNGA以前と以後ではもう別の会社の製品だと思えるくらいに違う。いまやTNGA世代でないトヨタ車を買うのは止めるべきというのが筆者の偽らざる感想だ。
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かつてトヨタのハイブリッドと言えばプリウスだったが、今やさまざまな車種バリエーションが展開、ついにはヴィッツにも採用された。その狙いや特徴などを考えたい。
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