証券は大手の証券会社が売り、保険は保険会社が売るーー。そんな形が崩れ始めるかもしれない。FintechベンチャーのFinatextホールディングス(東京都千代田区)は、子会社スマートプラスを通じて、異業種企業が容易に証券サービスに参入できるプラットフォームを提供した(11月7日の記事参照)。同社が次に「プラットフォーム化」を進めるのは、保険だ。
11月13日、Finatextはあいおいニッセイ同和損害保険との業務提携を発表した。これは証券サービスと同様に、保険にも異業種が低コストで参入できる仕組みを作り上げる布石だ。
この仕組みが動き出すと、顧客基盤を持つ企業が、自社のサービスの付加価値を上げるための保険を提供できるようになる。例えば、劇場運営企業が、映画のチケットをオンラインで販売するとともに、キャンセル保険を購入できるようにすれば、ユーザーは急な予定変更を気にせずに映画の予約を行える。このような映画チケットのキャンセル保険は、インドの決裁企業Paytmがすでに提供しており、ユーザーの不安を取り除くことで、チケットの購入促進につながっているという。
生活の各所で似たシーンは多い。Finatextで同事業の立ち上げを担当する河端一寛氏は、「困っている利用者がいて、それをサポートしたい事業者がいるところにフォーカスする」と話す。
従来の大手保険会社では、生命保険や自動車保険などマス向けの商品を開発して、それをどんな販売チャネルで売るかという発想が中心だった。今回の保険プラットフォーム構想では、ユーザーニーズを起点とし、保険だということを意識しないで、大手がカバーしきれていない生活の困り事や不安に対応することを狙う。
プラットフォームの基本的な考え方は、証券向けのBaaSと同様だ。自社のサービスにひもづけて保険を提供したい企業に、オンラインで保険契約や請求が可能になるプラットフォームをパーツとして提供。裏側に、あいおいニッセイ同和損保が入り、実際の保険を引き受ける。Finatext自身も、少額短期保険事業を立ち上げる。
実際のサービスに連動した保険商品の提供は、2020年春あたりを見込むという。
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