「金融版AWS」を目指すBaaS コスト10分の1の証券プラットフォームで異業種参入加速か?

» 2019年11月07日 16時44分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 11月7日にクレディセゾンは証券サービス「セゾンポケット」を発表した。この証券サービスの裏側を支えるのが、証券会社スマートプラスが提供する「BaaS(Brokerage as a Service」だ。スマートプラス親会社であるFinatextホールディングスの林良太社長は、「金融版AWSを目指す」と意気込みを語った。

Finatextホールディングスの林良太社長

 BaaSの狙いは、ユーザー基盤を持つ異業種企業が証券業に参入する際に、活用できるプラットフォームを提供することだ。

 昨今、異業種からの証券サービス参入が相次いでいるが、証券サービスの提供には堅牢なシステムの構築だけでなく、証券業に精通した人材を集め、証券業の登録含め数々の法対応も進めなければいけない。この裏側のシステムをモジュール的に用意し、提供するのがBaaSだ。

 BaaSを使うことで、証券業に参入したい企業は、会員の登録導線や商品の設計など、商品企画やマーケティングにだけ集中することができる。

 林氏は、独自開発すると約10億円かかるという証券サービスシステムを、BaaSでは10%から20%の初期コストで提供するという。サービス開始までの期間も6カ月程度まで短縮される。最初のパートナーとなるクレディセゾン向けでは、ユーザーが触れるスマホアプリの開発も行ったため、全体としての開発には1年ほどかかったというが、証券への参入としては非常に短期間でのサービスインだ。

 「証券サービスへの参入コストを下げ、多くのユーザーを持つ企業に、証券業に参入してもらえるようにしたい」と林氏。主に検討しているパートナーは、すでに会員基盤を持っていて、顧客接点を強めていきたいと考える事業会社だ。3年間で10社の獲得を目標としている。

BaaS利用のメリット

 「将来的には、高コスト体質の金融機関にも提供していきたい」(林氏)と、自前主義が当たり前だった金融業界に、水平分業による効率化、低コスト化のメリットをアピールしていく。

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