アイリスオーヤマは11月13日に音声操作ができる4Kテレビ「LUCA(ルカ)」の発売を発表した。同社初の音声操作可能なテレビを開発するために陣頭指揮を執ったのは、東芝を早期退職して、2016年からアイリスに入社したテレビ事業部長の武藤和浩さん(59歳)だ。
東芝時代には異なる国出身の技術者が多かったフランスの家電メーカー「トムソン(現在は中国のTCL集団)」と一緒に製品を開発したほか、中国、シンガポールなど海外を2カ国も駐在してきた。考え方の異なる外国人技術者とやりあいながら、その国に適した商品開発をしてきた。「出身が異なる人と意見をぶつけ合いながら製品を開発するのは、私の性格に合っている。だから、東芝から会社のカルチャーが異なるアイリスオーヤマに来ても、仕事をする上で特に違和感はなかった」と笑う。
豊富なキャリアを生かして、アイリスという自由が利く新天地で、もう一花咲かせようとしている。武藤さんのキャリア観と今後の目標を聞いた。果たしてアイリスオーヤマはテレビ事業でも旋風を起こすことができるのだろうか。
大阪の小さなプラスチック成形工場からスタートしたアイリスは、2009年に家電に本格参入し、13年には大阪R&Dセンターを開設。業績悪化で退職せざるを得なくなったシャープなどの大手家電メーカーから多数の社員を中途採用した。現在は同センターにいる100人以上のうち約80人が中途採用だ。18年には黒物家電に参入し、東京にもR&Dセンターを開設した。今回発売したテレビはここで開発された製品だ。
その後はグループ全体の売り上げも大幅に伸びて、18年には4750億円まで拡大。22年度にはグループの売り上げを1兆円規模まで伸ばすことを目標に掲げている。その目標達成の核となるのがテレビ事業だ。
アイリスは中途採用した人材を活用して家電事業を拡大してきた。最初は炊飯器や掃除機、空気清浄機などいわゆる白物を発売したことに加え、18年にはテレビなど黒物家電に後発ながら新規参入、そのために必要となる関連分野の技術者を他社から中途採用してきた。その中には経営難に陥った家電メーカーの元社員もいる。
このため、家電事業部の社員は出身企業が異なる「混成部隊」だ。シャープや東芝出身の40〜50代以上もおり、中には30代で前の会社に見切りをつけてアイリスに移ってきた技術者もいるという。
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