インタビュー
» 2019年11月29日 05時00分 公開

大手企業だけが活躍の場ではない:快進撃続けるアイリスオーヤマの「おじさん技術者」たち 元「東芝」技術者のもと“テレビ”でも旋風を起こせるか (1/4)

アイリスオーヤマ初の音声操作可能なテレビを開発するために陣頭指揮を執ったのは、東芝を早期退職してアイリスに入社したテレビ事業部長の武藤和浩さんだ。同社の家電事業部の社員は出身企業が異なる「混成部隊」だ。シャープや東芝出身の40〜50代以上もおり、中には30代で前の会社に見切りをつけてアイリスに移ってきた技術者もいるという。果たしてアイリスの「混成部隊」はテレビ事業でも旋風を起こすことができるのだろうか。

[中西享,ITmedia]

 アイリスオーヤマは11月13日に音声操作ができる4Kテレビ「LUCA(ルカ)」の発売を発表した。同社初の音声操作可能なテレビを開発するために陣頭指揮を執ったのは、東芝を早期退職して、2016年からアイリスに入社したテレビ事業部長の武藤和浩さん(59歳)だ。

 東芝時代には異なる国出身の技術者が多かったフランスの家電メーカー「トムソン(現在は中国のTCL集団)」と一緒に製品を開発したほか、中国、シンガポールなど海外を2カ国も駐在してきた。考え方の異なる外国人技術者とやりあいながら、その国に適した商品開発をしてきた。「出身が異なる人と意見をぶつけ合いながら製品を開発するのは、私の性格に合っている。だから、東芝から会社のカルチャーが異なるアイリスオーヤマに来ても、仕事をする上で特に違和感はなかった」と笑う。

 豊富なキャリアを生かして、アイリスという自由が利く新天地で、もう一花咲かせようとしている。武藤さんのキャリア観と今後の目標を聞いた。果たしてアイリスオーヤマはテレビ事業でも旋風を起こすことができるのだろうか。

phot 武藤和浩(むとう・かずひろ) 1960年生まれ。1983年に東芝に入社、テレビ事業部に配属、91年から95年までシンガポールのビデオ開発センター、2008年海外の商品企画を担当、16年3月に早期退職、同年7月にアイリスオーヤマに入社、19年1月からテレビ事業部部長。岐阜県出身

30〜50代技術者による「混成部隊」

 大阪の小さなプラスチック成形工場からスタートしたアイリスは、2009年に家電に本格参入し、13年には大阪R&Dセンターを開設。業績悪化で退職せざるを得なくなったシャープなどの大手家電メーカーから多数の社員を中途採用した。現在は同センターにいる100人以上のうち約80人が中途採用だ。18年には黒物家電に参入し、東京にもR&Dセンターを開設した。今回発売したテレビはここで開発された製品だ。

 その後はグループ全体の売り上げも大幅に伸びて、18年には4750億円まで拡大。22年度にはグループの売り上げを1兆円規模まで伸ばすことを目標に掲げている。その目標達成の核となるのがテレビ事業だ。

phot 2010年には100億円規模だった家電事業の売り上げは、18年に810億円まで成長。グループ全体の売り上げも18年には4750億円まで拡大した(以下資料はアイリスオーヤマ提供)

 アイリスは中途採用した人材を活用して家電事業を拡大してきた。最初は炊飯器や掃除機、空気清浄機などいわゆる白物を発売したことに加え、18年にはテレビなど黒物家電に後発ながら新規参入、そのために必要となる関連分野の技術者を他社から中途採用してきた。その中には経営難に陥った家電メーカーの元社員もいる。

 このため、家電事業部の社員は出身企業が異なる「混成部隊」だ。シャープや東芝出身の40〜50代以上もおり、中には30代で前の会社に見切りをつけてアイリスに移ってきた技術者もいるという。

phot 今回投入するテレビのシリーズ名は「LUCA(ルカ)」だ
phot 最初は炊飯器や掃除機、空気清浄機などいわゆる白物を発売していた
phot 今後は大型家電を強化していくという
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