今回オープンしたカフェでは、接客を通してさまざまな実験が行われた。その一つが、パイロットの役割を分担化したことだ。接客だけでなく、シフトを組む、現場を見て指示をする、司会をするといった役割にも分かれた。それぞれの仕事が得意な人もいれば苦手な人もいるので、パイロット同士で相談しながら進めていった。
OriHime-Dは、オープン初日はコーヒーを乗せたトレーを運ぶだけだった。徐々にカップをつかんでテーブルに置くことに挑戦し始めたり、皆の前でカフェの説明を行う司会に名乗り出たりするようになった。
パイロットが働いたことで得られたと感じたのは、給料よりもむしろ「寝たきりでも仕事ができることの喜び」だったという。パイロットは仕事の充実感をそれぞれTwitterでつぶやいている。
分身ロボットカフェは、20年の常設化を目指している。今回初めて働いたパイロットからも「自分の中でいい変化が生まれた」と声が寄せられ、吉藤さんは常設化への手応えを感じたという。
「パイロットのみなさんは、初めはすごく緊張したそうですが、多くの人が『前向きになった』とポジティブな感想を寄せていました。
カフェに来てくれたお客さんや企業の人たちに、重度の障害がある人でも、遠隔で接客ができることを実感してもらえました。パイロットの中には企業で働くことが決まった人もいますし、自治体から(障害者支援政策やデータ分析に関して助言をする)『共生社会アドバイザー』になることを要請された人もいます。これは非常に大きな成果だと考えています」
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