メディア
連載
» 2019年12月04日 05時00分 公開

マシリトが行く!【前編】:『ジャンプ』伝説の編集長が、『ドラゴンボール』のゲーム化で断ち切った「クソゲーを生む悪循環」 (4/5)

[伊藤誠之介,ITmedia]

編集者が一元化して情報を把握

鳥嶋氏: 原作元とライセンスを受けるメーカーとの間のやりとりっていうのは、当初、例えば原作の初代担当とゲームの担当者みたいに、限られた人間関係や人数でコミュニケーションを取っているうちは、いろんな話がダイレクトにできて良いんですよ。

 ところが年数が経(た)って、ゲーム開発側の人数が増えていくと、いろんな決まり事が増えて、それがルールとして守らなきゃいけないものになっていく。そうして、そのルールができた元にあるのはいったい何だったのかというのは、忘れ去られていき、非常に厄介なハードルになっていく。だから人間が変わってもルールだけが残っていくという、とても厄介な状況ができ上がっていくんですよね。

平氏: この講演の前に鳥嶋さんから伺ったんですけど、当時の『ジャンプ』とゲーム会社のやりとりでは、編集者1人とのやりとりで完結していたところが、今だとライツ部ができたりだとか、複数人体制になっていたりだとかで、やり方が変わってきていると。そのへんのメリット・デメリットみたいなところを、鳥嶋さんにお聞きしたいのですが。

鳥嶋氏: 『ジャンプ』で言うと、新人の新連載がいちばん大事なんですが、それを起こした担当編集者が、1人で作家と対面して全てのやりとりをしているんです。作家としては、マンガを執筆するのがいちばん大事なので、描いているときにいろんな情報を入れてほしくないって話になるわけです。

 なので、外からの話は担当編集が全部一元化して聞いた上で判断して、いちいち細かいことを作家には言わないわけですね。そこは信義則に基づいて。いろんな人間が関わり、複数の人間から話を聞くというやり方では、どうしても誤差が出てくる。だから担当編集1人が全部の話を聞いていくというやり方が大事なんです。そのためには作家が何を考えて、何を大事にしているのかということを、担当編集が日々やりとりをしながら、キチッと頭に入れておく必要があるんですが。

 例えば『ONE PIECE』などは今もそうかは分からないですが、担当編集者が複数になっていくと、これは非常に厄介になってくる。編集部サイドでどんなにコミュニケーションを取っていても、やっぱりそこにズレが出てくる。そういうことが起きると非常に良くないんですよね。それはなぜかというと、いろんなことの「負荷がかかる」って言い方を現場はするんですが、僕からするとそれはただ単に判断が遅いだけで。仕事が遅い人間に限っていろんな言い訳をして、いろんな仕組みを作るので。そういうふうに僕は思ってます。

phot

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間

    Digital Business Days

    - PR -