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「残業が少ない職種」ランキングで「美容系」がなぜ1位? 残業時間のメカニズムに迫る意外な結果の理由とは(3/3 ページ)

» 2019年12月05日 07時00分 公開
[服部良祐ITmedia]
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残業減らせない企業が陥る「悪循環」

 「キャップを締めるだけだと、残業時間は必ず“はみ出る”。その前に、現場で何が起きているのかをまず見るべき」(小林さん)。人事や経営層による上意下達の働き方改革だけでなく、会社や職場ごとに残業が発生するメカニズムを直視して対策を立てるよう提言する。

 会社員の労働環境について調査を重ねてきた小林さんが中でも問題視するのが、「中間管理職が割を食いやすい」実態だ。「職場のメンバー(一般社員)の残業時間が一見減っていても、リソースが足りていないため(残った仕事を)自分で巻き取ってしまう管理職が多い。彼らの労働実態の把握が非常に大事だ」(小林さん)。逆に人事などが残業時間の上限のみを設定して、現場に効率化を強いるだけの「働き方改革」には限界がある、と指摘する。

 近年は、時間外労働上限の法規制が大手企業で先行して施行されている。既に働き方改革に長く取り組み、成果を挙げている大企業も出てきた。一方で中小ではまだまだ「残業頼み」の職場も少なくない。

 小林さんは「時間削減のみを追いかけず、働き方改革で生産性向上を果たした大企業と、そのレベルまでいけていない中小との間で二極化が進んでいる。売り手市場の中で、働き方改革が進まない企業はさらに人手が足りなくなり、残業を増やさざるを得ない悪循環に陥る危険すらある」とみる。残業削減は従業員のためだけでなく、企業の生き残りをかけたテーマである。

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