人手不足への対応、多様な決済手段への対応、顧客の利便性向上(レジ待ちのイライラ減少など)を目的として、「無人」や「省人」要素を打ち出したお店が増えている。先進的な実験店などを取材し、導入の狙いを探る。
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連載第2回:人手不足に悩む飲食業界は「効率化」で“味気なく”なるのか?
連載第3回:「無人レジだけ」「カメラがたくさん」 ミニストップの省人化実験店舗に行ってみた
連載第4回:本記事
人手不足などを背景に、さまざまな店舗で無人レジが導入されている。その中でも、日常的に使われるコンビニエンスストアで、無人レジに積極的に取り組んでいるのがファミリーマートだ。
8月時点で1000台程度だった無人レジだが、2020年2月末までに5000台を導入する計画。下期から導入が加速しており、12月時点で3000台が稼働している。ファミリーマートは現在国内に1万6504店舗を出店しており、その数に比べると無人レジの導入はまだ始まったばかりだ。
「駅ナカやオフィス立地を中心に導入を進めている。客数の多いところで効果が上がっている」と同社広報は話す。当初の目論見どおり、人手不足の中、セルフレジが入ることによってレジ業務の手間を省けるようになったというのが、加盟店からの評価だ。
ファミリーマートの無人レジは、現金には対応せず、完全キャッシュレスというところに特徴がある。「現金対応する予定もない」と同社。7月から始めたバーコード決済「FamiPay」とも連携し、キャッシュレス比率を上げることも無人レジの狙いだ。
「キャッシュレス還元が始まる直前の9月だと20%だったが、直近では28%までキャッシュレス比率が伸びている」(ファミリーマート広報)
具体的な数字は明かさなかったが、期待通りにFamiPayの決済比率も伸びており、各種スマホ決済の中でも上位に入っているという。
無人レジの導入で気になるのが、万引や不正決済だ。無人レジは、有人レジから見える位置に置くのが基本のため、一定のけん制は働く。しかし実態としてはどうか。POSレジでの売上額と在庫の状況に差があれば、万引など何らかのトラブルの可能性があるが、「無人レジ導入によって、デメリットが出ているという話は上がっていない。万引などによる(在庫との)差異の増加も見当たらない」という。
一方で、利用者側からは「万引をしているように見られるのが嫌で、無人レジを使いにくい」という声も聞くことがある。こちらも、「バーコード決済では、決済すると音が流れるので、気にしなくていい」と、店員や周りのお客には分かっているという。
筆者の職場近くのファミマでも、当初1台だった無人レジが3台に増設され、お昼時などは無人レジを待つ列が生まれている。8月のころは、有人レジが長蛇の列でも、無人レジはガラガラだったのだが、この数カ月でかなりユーザーも慣れたということなのだろう。
欧州のスーパーマーケットなどでは以前から無人レジを見ることが多かったが、出入り口には屈強な警備員が配置され、不正を監視しているぞ、という雰囲気を感じたことがある。日本での無人レジは、比較的スムーズに導入が進むのかもしれない。
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