――鳥嶋さんは、「自分に作る才能がないから編集者になろうと思った」という趣旨を、以前インタビューでおっしゃっていましたが(ドラゴンボールの生みの親 『ジャンプ』伝説の編集長が語る「嫌いな仕事で結果を出す方法」を参照)、ほかのみなさんも、クリエイターではなくプロデューサーや編集者になろうと思ったのは、そうした理由なのですか?
鵜之澤氏: プロデューサーにもいろいろあって。僕も内山もパブリッシャー側のプロデューサーだから。片仮名で書けばプロデューサーだけど、漢字で書けば「商売人」。商売人と言っても、お金を稼ぐだけじゃないですよ。儲(もう)けたお金を使って、さらに大きなことをやる。それでみんな一緒に幸せになろうよと。だから譲るところは譲るし、ダメなものはダメだと言うし。
鳥嶋氏: それで言うとね、編集者には役職が3つあるんですよ。マネジメントと、ディレクションとプロデュース。
マネジメント、つまりマネジャーの仕事というのは、新人漫画家に部屋を借りてあげるとか、締切どうのこうのというもの。ディレクション、つまりディレクターというのは目の前の作品がどう面白いか、どう直せば良くなるかというもの。
それでプロデューサーというのは、その作家を3年後、5年後にどういう形に持っていくか。あとは周りにどういう才能を置いておいて、彼の仕事の才能をいかにやせ細らせないようにするか。いろんなことを考えるんですよ。それがプロデュースだから。この3つを全部含めたものが編集者の仕事。だからプロデューサーというのは長期視点の仕事だと、僕は思ってる。
内山氏: 僕自身は、本当はクリエーターになりたかったんですよ。ゲームの専門学校出身なので。それで専門学校の壁にバンダイの募集要項が貼ってあったので、応募して受かって入ったら、ゲームの開発ラインが社内にないんです(笑)。プロデュースだけを社内でやって、デベロップメント、つまりゲームの開発は社外でやっているので。
鵜之澤氏: 調べてから来いよ(笑)。
内山氏: 結果、ゲームの部門に配属されたら、それがプロデュース部門になっちゃった、みたいな感じなんです。
平氏: 鳥嶋さんがまさにそうですけど、成功するプロデューサーにはどこかクリエイティブな匂いがあるというか。鵜之澤さんも『機動警察パトレイバー』などで、アニメのプロデューサーとして作品を仕掛ける部分に絡んでいるし、内山さんも『.hack(ドットハック)』【※】などでそういうことをやっていますよね。
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