鵜之澤氏: 『.hack』はバンダイのゲームで唯一、オリジナルで成功したタイトルだから。オリジナルなんて絶対に無理と言われたのに。
鳥嶋氏: 良いものをやっているよね。
平氏: だからさっき鵜之澤さんが言ったような「肌感」や「当て勘」みたいなものを、プロデューサーがちゃんと持っているかどうかが、ヒット作を生む大きな要因なんだろうなと思います。
鳥嶋氏: それって「勘」だよね。瞬間、その場で決断する。
鵜之澤氏: そりゃパッと見ればね。私は絵は描けないけど、絵を見て話を聞いて、面白ければオッケーっていう。あとはどうやってお金を集めて、どういうスタイルでやるかだから。
鳥嶋氏: 瞬間的に「これは面白いね」「イケるね」と思うかどうか。
――その感覚は、一体どうやって会得するんですか?
鳥嶋氏: それは日々、いろんなものを見ているから。
平氏: 鵜之澤さんの場合で言うと、企画を見る前に普段から、(映画『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』などで有名な)押井守さんとかといろんな話をしているわけですよね。
鵜之澤氏: 一流どころが集まって、いろんな話をしてる。
鳥嶋氏: 膨大な蓄積をしているんだよね。
鵜之澤氏: だからパッと見たときに、これが成功まで行くかどうかの計算は、もしかしたら速いかもしれない。
鳥嶋氏: あとはね、鵜之澤さんもそうだと思うけど、話を聞いて「面白い」と思うと、その人のやりたいことをバックアップして、世の中に出してあげたいと思えるんですよ。
鵜之澤氏: 「こいつはオレが見つけた」って言いたいの(笑)。「鳥嶋さんにあのとき、お世話になったんです」って言われたいんですよ。
人間って基本的に、褒められたい生き物じゃない。承認欲求みたいなものがあるから。ゲームとかマンガとかアニメとか音楽とか、別に世の中になくても死ぬわけじゃないからさ。それはやっぱり誰かを泣かせたいとか、「感動した」って言ってもらいたいからやっているんだよね。<了>
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