#SHIFT

『ドラゴンボール』を手掛けた『ジャンプ』伝説の編集長が明かす「ゲームプロデュースの神髄」マシリトが行く!【後編】(4/4 ページ)

» 2019年12月06日 05時00分 公開
[伊藤誠之介ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

ユーザーの反応を“勘”でつかむプロデューサーがヒット作を生む

鵜之澤氏: 『.hack』はバンダイのゲームで唯一、オリジナルで成功したタイトルだから。オリジナルなんて絶対に無理と言われたのに。

鳥嶋氏: 良いものをやっているよね。

平氏: だからさっき鵜之澤さんが言ったような「肌感」や「当て勘」みたいなものを、プロデューサーがちゃんと持っているかどうかが、ヒット作を生む大きな要因なんだろうなと思います。

鳥嶋氏: それって「勘」だよね。瞬間、その場で決断する。

鵜之澤氏: そりゃパッと見ればね。私は絵は描けないけど、絵を見て話を聞いて、面白ければオッケーっていう。あとはどうやってお金を集めて、どういうスタイルでやるかだから。

鳥嶋氏: 瞬間的に「これは面白いね」「イケるね」と思うかどうか。

――その感覚は、一体どうやって会得するんですか?

鳥嶋氏: それは日々、いろんなものを見ているから。

平氏: 鵜之澤さんの場合で言うと、企画を見る前に普段から、(映画『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』などで有名な)押井守さんとかといろんな話をしているわけですよね。

鵜之澤氏: 一流どころが集まって、いろんな話をしてる。

鳥嶋氏: 膨大な蓄積をしているんだよね。

鵜之澤氏: だからパッと見たときに、これが成功まで行くかどうかの計算は、もしかしたら速いかもしれない。

鳥嶋氏: あとはね、鵜之澤さんもそうだと思うけど、話を聞いて「面白い」と思うと、その人のやりたいことをバックアップして、世の中に出してあげたいと思えるんですよ。

鵜之澤氏: 「こいつはオレが見つけた」って言いたいの(笑)。「鳥嶋さんにあのとき、お世話になったんです」って言われたいんですよ。

 人間って基本的に、褒められたい生き物じゃない。承認欲求みたいなものがあるから。ゲームとかマンガとかアニメとか音楽とか、別に世の中になくても死ぬわけじゃないからさ。それはやっぱり誰かを泣かせたいとか、「感動した」って言ってもらいたいからやっているんだよね。<了>

phot 右は電ファミニコゲーマーの平信一編集長
phot 白泉社の鳥嶋会長は電ファミニコゲーマーが立ち上げたマンガ・アニメ・ゲーム専門のオンラインサロン「世界征服大作戦」の”押しかけアドバイザー(相談役)”を務めている
前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.