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“低体温化組織”をどう変えればいいのか 業務過多とデジタル偏重コミュニケーション(5/5 ページ)

» 2019年12月12日 08時00分 公開
[ITmedia]
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ケースからの学び

 大島テクノロジーズの抱える問題点は、一見すると、デジタル世代である開発部門とアナログ世代である営業部門のコミュニケーションギャップや、縦割り風土が問題であると見られがちである。もちろんコミュニケーションギャップの溝を埋めることは大事だが、それ以前にコミュニケーションギャップを生んでいる真の要因にも目を向け、そこに手を打たなければ、本当の解決には至らない。

 大島テクノロジーズの場合、開発部門の余裕のなさがコミュニケーションへのわずらわしさにつながっており、仕事の生産性を高められなければ、単にルールだけ変えてもコミュニケーションの溝は埋まらなかっただろう。

 デジタルコミュニケーションが良いのか、対面コミュニケーションが良いのかは、ケースバイケースである。デジタルツールの利点は、記録が残ることや、場所や時間を問わないことにある。一方で、対面でコミュニケーションは、自然と相手への理解は深まり、感情移入もしやすいメリットがある。

 文字で見るとそっけないように感じた相手も、直接話をしてみたら、案外熱心に考えてくれていたんだと気付くこともあるだろう。それ以上に、直接話してみたら一瞬で問題が解決した、といったケースは枚挙にいとまがない。ただし、必要以上に打ち合わせに時間をかけることは生産性を阻害するため、議論や報連相の性質に応じて、デジタルと対面を使い分けることが望ましい。

 自社の組織の課題が何で、どうすれば生産性を高められるのか。これまでのやり方という固定概念を一度取っ払って考え直してみることが必要ではないだろうか。

著者プロフィール:大島奈櫻子

 株式会社リブ・コンサルティング マーケティング企画室責任者、国際公認経営コンサルティング協議会認定マネジメント・コンサルタント

 自社のマーケティング企画を担うとともに、経営戦略、新規事業開発、組織開発等のコンサルティングにも従事。本コラムのもととなる『モンスター組織〜停滞・混沌・沈没…8つの復活ストーリー〜』(実業之日本社)の執筆及び監修を担当。


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