例えば派遣社員の場合、20年4月以降は、段階的に昇給となる可能性が高い(労使協定方式の場合)。厚労省が作成した目安では、派遣後、1年が経過すると賃金が約16%、2年後には27%、3年後には32%上昇する。例えば時給が1179円だったデザイナーは1年後には1368円に、2年後には1496円に、3年後には1556円になるイメージだ。
同じ派遣社員でもスキルはそれぞれであり、一律に期間で昇給というやり方には異論も出ているが、継続派遣された社員の賃金が上がるのはほぼ間違いないだろう。
非正規社員の賃金が上がるのは非常によいことだが、現実はそれだけでは済まない可能性が高い。企業は総人件費の上昇を強く警戒しており、非正規社員の賃金が増えた分は、正社員の賃下げで対応しようとする企業が出てくるからだ。
賃下げといっても、基本給を減らすわけにはいかないので、最初のターゲットとなるのは各種手当てだろう。正社員には、さまざまな手当が支給されており、基本給ではなく手当てによって相応の年収が確保されているというのが現実である。
手当には、役職手当、住宅手当、地域手当、通勤手当などさまざまなものがあるが、時代や環境の変化で必ずしも必要なくなっているものもある。20年4月以降は、こうした手当が見直しの対象となるだろう。手当によって年収が確保されていた人は、これが削減されてしまうと大幅な年収ダウンとなってしまう。
手当というのは、あくまで特殊事情がある社員のためのものだが、なぜここまで手当が肥大化してきたのだろうか。その理由は、労働組合と会社との交渉過程にある。
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