その指標とは、同社調べによる「商品認知率」と「飲用経験率」。ビール類を月1回以上飲む、全国の20〜60代の男女約4000人を対象に調査した指標だという。
19年8月時点で、本麒麟の商品認知率は約60%、飲用経験率は約36%。前年同月と比べると、商品認知率は7ポイント、飲用経験率は9ポイント上昇している。1年目のヒットによって、商品の名前や味を知っている人が増えたことが分かる。「この伸びは大きい。しかし、もっと伸ばさないといけない」と中村氏は指摘する。
なぜなら、すでに定番となっているビール類のブランドは、この2つの数字が「(本麒麟より)10%以上高い」(中村氏)からだ。また、これらの数値が高い商品が売り場に残っていく、という相関関係も見られるという。
「商品を知っているか」「飲んだことがあるか」という指標は、一見、単純なものに見える。しかし、その重要性は高い。「いくらおいしい商品でも、知らないと買わない。認知率、飲用経験率の伸長がなければ成長できない」(中村氏)からだ。
そういった意味では、好調な本麒麟にもまだ課題がある。「認知率も飲用経験率も『のどごし』などに比べると低く、まだ上を目指せるポテンシャルがある。ビール類が好きな人全員に知ってもらえるような取り組みをしていきたい」と中村氏は話す。
20年10月以降、段階的に酒税法が改正され、新ジャンルにかかる酒税は増税となる。市場環境が厳しくなることが予想される中、“選ばれる”商品であり続けるための施策は生命線だ。中村氏は「より満足感のある味にするための改良、商品を知ってもらうための取り組みなど、いろんな車輪を回していかなければならない」と気を引き締める。定番商品として成功を続けることができるか。真価が問われるのはこれからだ。
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