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今年中国企業で最も目立った「アリババ」 その1年を振り返る(1/3 ページ)

» 2019年12月20日 09時00分 公開
[山谷剛史ITmedia]

 BATと呼ばれる中国IT企業――バイドゥ(百度)、アリババ(阿里巴巴)、テンセント(騰訊)の存在が、米国のGAFA同様、世界のIT業界を俯瞰する上で無視できない存在になっている。この記事ではそんなBATの中から、2019年最も目立ったアリババについて紹介したい。

photo 阿里巴巴集団の公式サイトより

 創業20周年となる今年、アリババは話題に事欠かなかった。一番の衝撃は、アリババの顔であり、中国ネット産業を率いていたジャック・マー(馬雲)氏が9月にトップを引退し、ダニエル・チャン(張勇)氏にバトンタッチしたこと。今後の成長に向けて打ち出した、「102年続く優れた企業になることを追求する」という価値観(コアバリュー)も話題を呼び、12年に自主的に上場を廃止した香港証券取引所へ“再上場”したことでも注目を集めた。

 そんなアリババだが、そもそもどんな企業なのだろうか。まずは同社が展開しているサービスとその動向について振り返ってみよう。

アリババとは?

 アリババは、1999年にジャック・マー氏が設立。B2BのECサイト「Alibaba.com(アリババドットコム)」や「淘宝網(タオバオ)」で急成長し、現在はB2CのECサイト「天猫(Tmall)」や、クラウドサービス「阿里雲(アリクラウド)」、動画サービスの「優酷(Youku)」など、幅広いサービスを展開。その多くが動物の名前を冠していることから、「阿里動物園」といわれることもある。

photo アリババの主力サービスの1つ「淘宝網(タオバオ)」

 キャッシュレス決済の「支付宝(アリペイ)」も、もともとはアリババのサービスだったが、現在は関連の金融会社・アントフィナンシャルが提供している。

 サービス以外では、コネクテッドカーなどIoT製品に対応したOS「AliOS」を提供している他、18年9月に設立した傘下企業「平頭哥半導体(T-HEAD)」が、高性能なAIチップ「含光800」や、組み込み用CPU「玄鉄910」、SoC用プラットフォーム「無剣」などを発表。含光800は、アリババのスマートシティ向けソリューション「都市大脳」への導入も進んでおり、処理能力が大幅に向上しているという。

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