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今年中国企業で最も目立った「アリババ」 その1年を振り返る(2/3 ページ)

» 2019年12月20日 09時00分 公開
[山谷剛史ITmedia]

EC市場の注目は「ライブコマース」

 大手IT企業として幅広いサービスを手掛けるアリババだが、主力事業はやはりECだ。アリババドットコムや淘宝網だけでなく、中古販売の「閑魚(Xianyu)」、共同購入サービスの「聚劃算(juhuasuan)」など、複数のECサイトを運営しており、スマートスピーカー「天猫精霊」でもEC機能を強化している。

 中でも今年注目を集めたのは、ライブコマース「淘宝直播(タオバオライブ)」の台頭と、網易(ネットイース)の越境EC「Kaola(考拉/コアラ)」の買収だろう。

 近年、中国ではライブコマースが大きな盛り上がりを見せており、「TikTok」を提供するバイトダンスが中国向けに提供している「抖音(ドウイン)」や、中国版Instagramともいわれる「快手(Kwai)」は、ショート動画とライブコマースの連携を推進。これに対抗し、アリババも「淘宝直播(タオバオライブ)」でライブコマースに注力している。

photo 淘宝直播のアプリ画面

 中国では、「双十一(ダブルイレブン)」――いわゆる「独身の日」である11月11日と、大手EC「京東(ジンドン、JD)」の記念日である6月18日に大規模な“EC祭り”が起きるのだが、今年はどちらの祭りでも淘宝直播(タオバオライブ)が台風の目になっていた。

 その背景には、EC市場における競合の台頭がある。これまでアリババの競合といえば京東だったが、19年は京東と新興EC「ピンドゥオドゥオ(※)」の間で熾烈な2位争いが起きた。ピンドゥオドゥオは価格が安い反面、偽物も混ざることで知られるECサイトだ。淘宝網で偽物販売が減っていく中、その下の市場で支持を得て、のし上がっているサービスである。

(※)表記は「●(てへんに併のつくり)多多」

photo 価格の安さを売りに成長している「ピンドゥオドゥオ」

 前述の2大EC祭では今年、アリババ、京東、ピンドゥオドゥオの3社による競争が激化。毎年EC祭には何かしらの仕掛けや変化があり、消費者も新しい取り組みに期待しているのだが、今年は3社による割引券のばらまきやライブコマースの販売合戦が盛り上がりを見せた。

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