クラウドサービス「paperlogic」を展開するペーパーロジックは、ペーパーレス化に関する2019年の総括および20年の展望に関するレポートを発表した。
レポートによると、19年は「ペーパーレス社会」実現に向けて、象徴的なニュースが3つあったという。1点目は、4月の労働基準法施行規則の改正により、「労働条件通知書」の電子化が解禁されたこと。これにより雇用契約関連書類の完全ペーパーレス化が可能になった。
2点目は、5月にデジタルファースト法が参院本会議で可決・成立し、従来の紙やはんこによる行政手続きの電子化・ペーパーレス化が推進される形となったこと。また、前後してビジネス文書の「電子化・ペーパーレス化」の法規制緩和も進んでいる。
3点目は、不動産取引契約において書面による交付を義務付けられている重要事項説明書(重説)について、国交省主導の「賃貸契約における重要事項説明書等の電磁的方法による交付の社会実験」が10月から開始されたことがある。
ペーパーレス社会実現のためには、文書ライフサイクルの全過程を電子化する必要がある。サイクルは大きく分けて、文書の「作成・承認」「発行・調印」「保存・活用」の3つがあるが、前述のニュースのうち2つは、文書ライフサイクルでいう「発行・調印」の電子化だった。この領域は「電子契約」と呼ばれており、19年は電子契約の本格的な普及の幕開けとなった。
電子契約導入の背景には、契約の電子化に伴う「収入印紙税の削減」が大きなテーマとなった。印紙費用は一般的に高額取引になるほど上がるため、特に取引金額が大きい不動産業・建設業・金融業(融資)などで、印紙コスト削減を狙い電子契約の導入や検討が進んだ。
一方で、ペーパーロジックが実施したアンケート調査によれば、東京所在の企業においても電子契約システムを導入していない企業は71.2%あり、電子契約はまだ浸透していない実態が明らかになっている。
デジタルファースト法によって、19年は国として本格的な電子化・ペーパーレス化への第一歩を歩みはじめた。ペーパーロジックは「法規制緩和による国の後押しがある分野から、今後さまざまな分野でペーパーレス化が進んでいく」と予測している。
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