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ITの魅力、もっと知って! 3年間かけて中小企業1万社を直接訪問へ 企業DXの後押しに注力する日本MSそれでも進まぬIT活用(1/2 ページ)

» 2019年12月18日 08時00分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

 日本マイクロソフト(MS)は12月16日、中堅、中小企業やスタートアップ企業に対するデジタルトランスフォーメーション(DX)支援に関する発表会を開催した。発表会には、日本MSと協力関係にある東京商工会議所や、日本MSのサービスを導入してDXを推進する企業の担当者も登壇した。

中堅中小企業への支援を強化していく

 日本MSは具体的な支援策として「中堅中小企業の働き方改革」「中堅中小企業のビジネス課題を解決するデータ活用の変革」「スタートアップ企業の変革」の3つに注力すると発表。登壇した日本MSの三上智子業務執行役員は「DXというと、先進的な企業や大企業にしか関係がないものと思われがち。しかし、これからは全ての企業がデジタルカンパニーになる時代だ」と話した。

 「中堅中小企業の働き方改革」としては、セキュリティ診断や、Microsoft Teamsの体験ワークショップなどを通して、リモートワークを推進していく。三上氏は「中小企業、特に地方企業では情報量の不足が顕著。使いたいけどどうすればいいのか分からないし、どこに聞けばいいのか分からないという声をよく聞く。こちらから積極的に情報を発信していきたい」と話す。

 そこで、東京商工会議所とタッグを組む。東京商工会議所は「『はじめてIT活用』1万社プロジェクト」を展開している。このプロジェクトに、日本MSが提供する「Office 365」の期間限定での無償提供や、活用ノウハウの提供という形で参画する。

 東京商工会議所の小林治彦事務局長は「中小企業の最も深刻な課題の1つが、人手不足」と話す。東京商工会議所が2015年から行っている「人手不足等への対応に関する調査」によると、19年度に「人手が不足している」と回答した企業の割合は66.4%。前回調査の65.0%からポイントを上げており、15年から一貫して人手不足感が強まっているという。

 人手不足には、ITの導入による効率化を打ち手として改革を行う企業も多いだろう。しかし、こと中小企業に関してはまだまだIT化が進んでいない。東京商工会議所が行った別の18年度調査では、「ITツールを活用している」と回答した企業の割合は51.3%にとどまる。およそ半数の企業でIT導入が進んでいないだけでなく、「今後活用するつもり」と回答した企業も20.6%。17年度調査の28.0%から、なぜかポイントを落としている。

IT導入も、活用検討も進まない中小企業

 「『はじめてIT活用』1万社プロジェクト」では、ITへの関心が低い60〜70代経営者を対象に、直接訪問することで啓蒙していく。東京商工会議所では、無担保無保証融資の営業活動を中小企業に行っているといい、並行してITの情報提供も行う。訪問数は1年間で3〜4000社だといい、これから3年間で1万社へのアプローチを試みる。

3年間をかけ、1万社へアプローチしていく
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