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自覚がないまま、「昭和なマネジメント」で社員を苦しめていた――地方都市の社長が「働き方改革の失敗」に気付くまで働き方改革を阻む「抵抗」「不安」「失敗」との戦い方(2/3 ページ)

» 2019年12月24日 08時00分 公開
[後藤祥子ITmedia]

働きがいのある会社を作ろうとして大失敗

沢渡: その後、ご実家のある静岡県の浜松に戻って起業したわけですね。

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小川: NOKIOOというWebマーケティング支援やIT開発を行う会社を創業しました。社員を雇い、彼らをうまくマネジメントして働きがいがある会社を作ろうと考えたのですが、創業して3〜4年たったころに、うまくいかなくなったんです。

 社員の数が10〜15人くらいになったころだったのですが、ある一定のところまでは営業の数字が上がっていくのに、そこからなかなか伸びなくなって。4年目になると売り上げが鈍化し始めて、赤字も出るような状況になったんですね。社員間のコンフリクトが目立ってきたのも、このころでした。いつの間にか、社内に鬱積(うっせき)するムードが蔓延していたのです。

 期末の打ち上げや忘年会も、全然、楽しい雰囲気にならなくて、2次会、3次会でも、僕がいる前で社員が会社の不満やネガティブな話ばかりをするんです。「この雰囲気ってなんだろう」と思ったときに、よくよく思い出してみると、普段も少なからず社内は、同じような雰囲気になってしまっていることに気付いたんです。

 そもそも仕事をする上でのワクワク感や、楽しいという気持ち、社員同士がつながって何かを一緒に創造していこう、というものが失われていたんですね。

 そのときに思い出したのが、昔、よく聞いた「社長の器以上に会社は大きくならない」という言葉でした。創業2〜3年目で従業員が十数人、売り上げが数千万くらいのところまでの器はあったのかもしれないけれど、ここまでだった。だから、会社の成長が止まって社内の雰囲気も悪くなってしまったのだと気付いたのです。

 会社を立ち上げて間もないころは、いろいろと勉強しなきゃいけないと思って、人の話を聞きに行ったり本を読んだりしていたけれど、次第に自分の人間的な器を広げるための勉強をしたり、学びの場に出ていって人の話を聞き、理想と現状のギャップを考えたりするようなことをやらなくなってしまった。そこが、会社がうまくいかなくなった原因だと分かったんです。

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