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法人向けプラチナ、ブラックカードはなぜ伸びる? 昨対3倍成長のラグジュアリーカード(2/3 ページ)

» 2019年12月24日 07時40分 公開
[斎藤健二ITmedia]

――ラグジュアリーカードは2008年に米国でスタートし、海外初進出が日本だ。なぜ日本を選んだのか。日米での高級カード市場の違いはどんなところがあるか。

 最初から日本を予定していた。富裕層マーケットは、米国、中国、日本が大きい。この3カ国を狙いたい。日本と中国は、いずれも新しいカード事業を始めるのが難しい。中国は外資系ブランドの参入が難しく、日本ではこれまでも外資系がチャレンジしてきたが、簡単には成功できない。

 これまでの外資系カード会社は、日本マーケットのニーズが全体的に理解できていなかったのではないか。外資はグローバルでビジネスモデルを展開している。「米国ではできているのに、どうして日本でできないのか」といわれる。日本は、ユニークな国だ。それを理解したうえで、サービスを提供しなくてはいけない。

 ラグジュアリーカードでも、米国ではトラベル系の優待が中心になっている。中国では、ウェルネス(健康管理系サービス)が富裕層にとっての課題だ。日本は、ダイニング、グルメにこだわっている国だ。圧倒的に、ダイニング系のニーズが多く、レストラン予約などのリクエストが多い。

――いわゆるプラチナカード以上のクレジットカードでは、レストランや旅行の手配をしてくれるコンシェルジュサービスが特徴だ。ラグジュアリーカードのチタン、ブラックでは?

岩瀬 同じセグメントの他社カードと違って、ラグジュアリーカードでは電話で自動音声応答を付けていない。いちばんイライラするのは、自動音声応答。皆さんお忙しいので、ここにこだわりを持とうと。米国では自動音声応答が入っているが、日本ではここは譲れない。

 払った年会費に対してどう元をとるかを皆さん考えるが、コンシェルジュには自身でやらなくてもいいことをおまかせできるところに価値がある。例えば、家族構成を一度聞けば、子どもの年齢などに適したお店を案内する。好き嫌いもアレルギーも、データとして入っている。

 ブラックカードとゴールドカードではメールでも依頼でき、24時間以内には返事が返ってくる。コンシェルジュというと恐れ多くて使いづらいと思うが、一人5000円とか3000円の予算で居酒屋の手配を依頼される人も多い。

経営業務本部長の岩瀬太郎氏

――メールでのやりとりは評価が高いと聞く。チタンカードでの提供は難しいのか?

岩瀬 メールでのやりとりは書かなくてはいけないので、コンシェルジュの手間がかかり、サービス提供のコストが上がってしまう。チャットサービスなども検討はしているが、なかなか満足いくシステムにならない。

――レストランの予約以外に、コンシェルジュはどのように活用されているのか。

 例えばホテルのウェイクアップコールを信用できないので、コンシェルジュに電話を依頼するお客さまもいた。家族の記念日を忘れないように連絡をもらい、併せてプレゼントの提案を依頼する人もいた。過去のログが残るので、プレゼントも同じものを贈らないで済む。

岩瀬 つながりやすさに気を配っている。会員専用のアプリからタップして電話をかけられ、会員番号なども口頭で言う必要がない。海外での利用は特に便利だ。条件を伝えれば、宿泊しているホテルの近くでレストラン予約の手配までしてくれる。

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