NECはなぜGoogleになれなかったか――量子コンピューター開発「痛恨の判断ミス」科学技術立国・日本崩壊の真相(4/4 ページ)

» 2020年01月14日 06時00分 公開
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それでも「出遅れ感否めない」日本

 ただし、世界的に見ると、出遅れた感は否めない。特化型は、先行するDウエーブシステムズ社がすでに2000量子ビットを達成し、20年度には5000量子ビットの実機を出荷すると発表している。汎用型も、米国のグーグルやIBM、中国のアリババなどの巨大企業が開発に乗り出した。各国は数百億〜1000億円以上を投資している。文科省の投資額は18年度から10年間で40億円に過ぎず、投資額の桁が違う。

 日本企業も巨額の投資には及び腰だ。中村氏によると、文科省の事業はほぼ国の予算内で行い、NECはほとんど「手弁当」で加わるという。中村氏は「日本企業は量子コンピューターにそれほどお金を出せる状況にない」と話す。

 曽根氏は「NECはものづくりを手放したことで元気を失った」と残念がる。「多くのシーズ(研究開発の種)を持っていたのに、情けない。基礎研究所で我々は、今のグーグルやIBMのような企業になれると信じて開発してきたが、なりきれなかった」

※注記:出版社からの要望で、曽根純一氏の発言内容に関して表現を一部変更しました(2020年1月29日10時30分更新)
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