企業不祥事トレンドは「人口減少型」、2020年はどうなる?スピン経済の歩き方(1/6 ページ)

» 2019年12月31日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

 2019年もさまざまな企業不祥事があった。

 日産、レオパレス21、吉本興業、関西電力、セブン-イレブン、リクナビ、そしてかんぽ生命……そうそうたる大企業が次々とやらかして、社会からボコボコに叩かれて謝罪会見を開く、というのはまだ記憶に新しいことだろう。

 では、これらの企業は何が問題だったのか。

 危機管理の専門家によれば、こういう不祥事企業は往々にして、経営トップが悪いということになっている。リーダーシップがない、モラルが低い、などのダメなトップは、何かしらの問題が発覚した際に適切な対応をせずに放置や隠ぺいに走る。そんな初動のマズさが被害の拡大を招き、組織ぐるみの悪事に発展するというのだ。

 筆者も報道対策アドバイザーという仕事柄、経営トップの立ち振る舞いが危機管理時の明暗を分けるのは身に染みて分かっている。が、その一方で、そういう個人の吊し上げをしていても何も変わらない、というか事態は悪化していく一方のような気もしている。

 近年の不祥事企業を見ると、「人口減少」の暗黒面をモロに受けたことでビジネスモデルの根幹が揺らいでいることで、道を踏み外すパターンが増えてきているからだ。

 例えば分かりやすいのが、前回の連載でも触れた「日本郵政」である(参照記事)。

 ここが高齢者に詐欺まがいの保険販売をしたのは無茶なノルマのせいだと言われている。では、なぜノルマが厳しくなったのかというと、少子高齢化で競合も増えて、新規保険契約者が減っているにもかかわらず、目標を下方修正していないからだ。

2019年、かんぽ生命が大きく揺れている(出典:ゲッティイメージズ)

 では、なぜ目標を下げられないのかというと、日本全国津々浦々まで「ユニバーサルサービス」を提供する郵便局は「2万4000局」という水準をキープをしなくてはいけないから。急速な人口減少で利用者も、日本郵政の従業員も減っている中で、「数の帳尻合わせ」に邁進していれば当然、組織の運営はいきずまる。しかし、これは法律で定められているものなので、サラリーマン経営者が手をつけられるような類の話ではない。それは、辞任した民間出身の経営陣も、今回バトンを引き継いだ役人出身の経営者も同じだ。

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