赤字に苦しんできたダイエーに“復活”の兆し 流通帝国の崩壊から黒字化までの道のりをたどる長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)

» 2020年01月15日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

イオンの傘下に

 しかし、丸紅とイオンの意見が合わず、復活には至らぬまま、13年にTOB(株式公開買い付け)によりイオンの子会社となった。15年には完全子会社化されている。丸紅は消費税が5%から8%に引き上げられるのを機に、ダイエー再建から手を引いた。

 丸紅はスーパーとコンビニの複合業態といわれる「ひとりでも便利」をコンセプトとする新業態「フーディアム」を推進したかったようだが、イオンが買収してからはさらなる新業態であるイオンフードスタイルの店が増えている。イオンフードスタイルはスーパーの主要顧客である主婦やファミリーを重視している感があるが、都会の高感度な顧客を狙う方向性は共通する。

 近年のダイエーは、商品が変わった。青果売場に行くと、店によって取り組みが異なるようだが、トマトフェアと称して糖度とサイズが異なる数種類のトマトが陳列されていたり、鍋に合う野菜として豆苗が推奨されていたりする。世界中のクラフトビールを販売するコーナーが設けられている店もある。

 総菜では、「だしが旨い!切干大根煮」や「野菜と食べるあじ南蛮漬け」といったように、飲食店によくあるようなこだわりを強調した表記の商品が多くなった。弁当もワンコイン以内だと、398円(税抜)でボリュームのあるチキン南蛮弁当などがあって、同じクオリティーなら、コンビニより100円は安い感がある。

ダイエーのチキン南蛮弁当
ダイエーの復活を予感させる総菜

 焼き立てのパンが100円ベースでそろっており、カレーパンなどは具材もしっかりと入っていて、お得な内容だ。

 店舗が全般に老朽化していて、V字回復は難しいが、ダイエーの復権を予感させる品ぞろえになってきた。

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