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インスタ映えで客殺到の裏にアルバイト管理の苦悩……カフェ店舗経営の課題を解決したテクノロジー(2/3 ページ)

» 2020年01月22日 07時00分 公開
[らいらITmedia]

シフト表作成はカレンダーを書くことから

―― 現在、スタッフは何人いらっしゃいますか。

田中 アルバイト4人と私、オーナーの6人です。オーナーは月に1度来るくらいですが。

―― どのようにスタッフのシフトを作っていますか。

田中 現在は「Airシフト」という、リクルートが提供しているシフト管理サービスを使用していますが、それ以前は手書きでカレンダーを紙に書いて、スタッフからもらったLINEを見ながら全員分のシフトを書いていました。出勤希望日の中で全員がうまくバランスよく配置されるよう、パズルのように出勤日を組んでいました。

―― 手書きって、カレンダーも手書きですか?

田中 大きいカレンダーが売っていなかったので、自分で書いていました。だから、まずカレンダーを手書きするのが大変です。週を区切る7本の線がずれて名前が入らなくなったりしたこともあります。カレンダーを作るだけでも時間がかかっていました。

―― それは大変ですね。ExcelなどPCで作ろうとは思いませんでしたか?

田中 最初はオーナーがそうしていましたが、印刷するにはコンビニプリントで1枚10円がかかっちゃうんですよね。もともと私が節約家なので、「印刷に10円……!?」と思ってしまって(笑)。そこにコストかけたくなくて、PCは使わなくなりました。

―― そうなると、まず月間カレンダーを手書きするのに十数分かかりますよね。1カ月分のシフトが完成するまでに、合計どれくらい時間がかかっていましたか。

田中 どんなに早くても2日はかかっていました。お店が閉店したあと、朝4時くらいまでやっていました。閉店後は疲れているので、ダラダラやってしまうんです。だからなるべく営業中にやりたかったのですが難しいです。

―― それは大変ですね。また、シフト表を作っても、翌月の出勤日を各アルバイトに伝える作業もありますよね。どうやって共有していましたか。

田中 手書きのシフトカレンダーは私の字が読みづらいと思い、アルバイトの読み間違いがないように、個別に一人一人出勤日のLINEを送っていました。

―― とても親切ですが、田中さんの作業としては二度手間になってしまいますね。スタッフにはどうやってシフト提出をお願いしていましたか。

田中 毎月「◯日までにLINEで希望出勤日を出してください」とお願いしていました。もし提出忘れの人がいたら、その人抜きで取りあえず作ります。

―― シフトを作成するときは具体的にどのあたりが大変ですか。

田中 「希望かなえ率」のバランスです。月30日、まるまる出勤希望を出してくれた人は最優先でシフトを入れます。ところが例えば、月10日分の希望を出してくれた人が2人がいた場合、同程度の出勤日になるようにしないと、どちらかを優遇しているように見えてしまいます。それがトラブルの原因になることもあるので、出勤日を全て手で1つ1つ数えて、「希望日分の出勤日」の割合を調整するのが大変でした。

―― 毎回その割合を計算するのは骨が折れますね。そうなると、月にたくさん希望日を出してくれる人がいたほうが助かりそうです。

田中 そこがまた難しくて、たくさん出勤してくれる人ばかりに頼ると、その人が旅行に行ったり、体調を崩したりしたときの代わりがいなくなります。だから、少しずつ出られる人をたくさん採用したほうが、ヘルプが必要なときも誰かしら出てくれます。出勤希望日が多い人、少ない人、どちらにもメリットとデメリットがあります。

人間関係も考慮してシフトを組む苦労を語る田中さん

―― シフト作成の際、アルバイト同士の相性の良しあしも考えますか。

田中 2年ほど前の話ですが、スタッフ内の人間関係が理由で「シフトは彼と被らないようにしてほしい」と相談されたことはありました。

―― 「そんなこといわれても、仕事なんだからちゃんと働きなよ」って思いませんか?(笑)

田中 いえいえ、私はそれで仕事の雰囲気が悪くなるくらいだったら、その意見は考慮します。ただ、シフト組みの難易度は上がりますね。そのときは、「あなたのわがままをこちらが受け入れなかったら人数通り回せるところを、1人欠けた状態で営業することになる。それでもいいですか」と聞きました。すると、「いい」と答えるガッツがあったので、結局その意見をくんでシフトを作っていました。

―― シフトの作成にはアルバイトの希望日だけでなく、人間関係なども考慮して作らないといけない苦労があるのですね。

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