GMOインターネットが1月26日に出したプレスリリースが、メディアやSNSで話題となっている。なぜなら、同社はコロナウイルス による新型肺炎の感染拡大に備え、4000人以上の従業員を在宅勤務体制に切り替えたからだ。
コロナウイルス は日本でも広がりを見せつつある。28日時点では7人目となる感染例が明らかになっており、予断を許さない状況だ。潜伏期間は2週間ほどであるとのことから、下図の「ゴールデンルート」と呼ばれるインバウンド需要の高い地域では特に注意しておきたい。
いくらマスクをつけたり、手洗いうがいを徹底したりしても、満員電車での通勤が発生する状況では、完全な対策はないといっても過言ではない。筆者が街を見渡す限りにおいては、人々のマスク着用率はわずか20%ほどだった。日本では、依然として感染が拡大しやすい状況にあるといえるだろう。
そんな状況で注目を浴びたのは、GMOインターネット社の「一斉在宅勤務」である。同社は、今回の措置を緊急時における事業継続計画(BCP)に基づく対応としており、福利厚生としての在宅勤務とはまた別の論点で整理されるべきである。
そもそもBCPとは、企業が自然災害やシステム停止といった緊急事態において、経営資源の損害を最小限に留めつつ、中核事業を継続ないしは早期復旧させるための活動計画である。
NTTデータ経営研究所が2019年3月にまとめた「東日本大震災発生後の企業の事業継続に係る意識調査(第5回)」によれば、BCPを導入する企業は、検討中の企業を含めると64.9%に達し、東日本大震災が発生した11年から8年で1.7倍に増加した。
BCPを導入する企業が想定しているリスクの中で特に重視しているのは、大きく分けて2点だ。それは、地震や風水害といった「自然災害」と、火災や停電、システム停止といった「事故」である。
一方で、「感染症」については、BCPを導入する企業の中でも26.4%しか想定されておらず、比較的重視されていないリスクだった。そういった背景もあって、GMOインターネットの迅速かつ大胆な意思決定が際立ったわけだ。
では、迅速な決定の決め手になったのはどのような点にあるだろうか。
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