日本でZORCは登場するか? 不動産テックを取り巻く日米の違い(2/2 ページ)

» 2020年02月04日 14時14分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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不動産テック、日本と米国の違い

 日本でも徐々に盛り上がりつつ不動産テックだが、米国のような急激な成長は始まっていない。例えば、買い手×サーチのジャンルには、国内でもSUUMOやHOME'Sなどの大手プレーヤーがいるが、彼らはトランザクションなどのジャンルに進出して、Redfinのような立ち位置を目指さないのか。

 市川氏はこれを「日米市場の構造的な違いだ」と説明する。国内にはレインズという不動産情報を一元で管理、閲覧できるデータベースサービスがある。この米国版がMLSだ。

 「MLSにはしっかり情報が載っていて機能している。米ポータル各社はMLSから情報を取って掲載している。一方で、日本ではレインズはオープンになっておらず、ポータル各社は不動産仲介会社から情報を入稿してもらっている。米国では、仲介業者に依存していないので思い切った手が打てるが、日本では仲介業者は顧客でもあるので難しい」(市川氏)

 対面ではなくアルゴリズムによる価格選定と即時買い取りが特徴のiBuyerの仕組みについても、日米の市場の違いがある。

 「マクロで見たとき、日本では中古物件の価格が次第に下がっていくが、米国では上がっていく。iBuyerは、物件を買い取って転売することで利益を出すモデル。価格が時間とともに下がっていくとビジネスが苦しくなるので、米国のほうがやりやすい」(市川氏)

 さらに、「即時買い取りは、さまざまなリスクを考えると大手企業には難しい」(三菱地所の那須井俊之氏)というコメントもあった。

 もちろん、日本の場合でも、都内や首都圏など価格の安定している地域で、旧耐震基準以降の構造や躯体(くたい)の心配の小さい物件もある。「そこに絞れば、日本でもiBuyerモデルが成り立つのではないか」(市川氏)

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