村上世彰に森永卓郎の息子が聞く「日本の経営者に必要なこと」――株主がガバナンスを利かせ白熱の経済論戦(4/5 ページ)

» 2020年02月06日 05時00分 公開
[森永康平ITmedia]
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格差縮小のカギは「資産課税」

――日本でもネット上では社会的弱者に対して自己責任論を説く人を目にしますが、どう思いますか?

 自己責任は自己責任でいいんですよ。ただ、その前に機会を与えないといけない。働く気のない人を働かせてもしんどいですから。幸せに働きたい人をいかに増やすかが国として重要なんじゃないですか。

――日本に限らず、先進国を中心に格差は拡大し続けています。どうやって格差を縮小させるのか。いまおっしゃったことはボトムの押し上げという観点ですが、富裕層に対してはどう対策を取ればいいのでしょうか?

 内部留保の話にもつながるのですが、「資産課税」でしょうね。意味のない遊休地や金融資産には税をかけるよ、と。小さい税率でもいいから、早くやり始めたほうがいい。それは企業だけでなく、個人の富裕層にもですよ。適切な税率が0.5%なのか1.0%なのかは分からないけど、日本という国で活躍させてもらう以上、少しでもきちんと日本に還元すべきなんです。

 僕は消費税よりも、そっちの方がずっといいと思っている。米国でもトレンドになっているんですよね。民主党政権でウォーレンさんが主張しています。もしかすると、世界の潮流として、資産課税が出てくる可能性があります。ファンドの運用をしている人たちも含めて、やるべきだという人が増えています。でも、それは格差是正というよりは、世界経済の安定的な成長として必要なことだ、という観点からの発言でもありますね。

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――資産課税を導入すると、本当の富裕層は海外に逃げて、小金持ちだけが疲弊して、結果的に日本には富裕層がいなくなり、「一億総中流や一億総下流になる」ということを言う人もいますが。

 そこは心配する必要はないですよ。例えば僕はシンガポールに住んでいるし、周りにも日本人の富裕層がいますけど、みんなどこに多くの資産を持っていると思いますか。日本ですよ。日本に対して、ある一定の量は納めればいいんです。個人が個人の金を海外に持っていったっていいじゃないですか。それは、たいした金額じゃないですよ。しかも、いまでは日本からお金を持ち出すときもしっかりと課税されるようになりました。

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