AIが投資する時代 「FOLIO ROBO PRO」はAIで何を予測するのか(3/4 ページ)

» 2020年02月10日 15時55分 公開
[斎藤健二ITmedia]

難しいリターンの予測をどうポートフォリオに反映させるか

 数カ月先のリターンを予測するといっても、最も上がりそうな資産にすべてを投資するような仕組みではない。実際には、各資産のリターン予測とその確信度を計算モデルに入れ込んで、最適な資産の組み合わせ(ポートフォリオ)を作り出す。

一般的なロボアドバイザーと、ROBO PROのリターンの比較。同じアルゴリズムを使い、過去も運用を続けた場合にどんな成績になるかというバックテストの結果

 一般的なポートフォリオの考え方では、各資産のリターンとリスクを元に、最もリスクあたりのリターンが大きくなる組み合わせ(平均分散)を計算して、各資産の比率を決定する。しかし、リスクの推定はともかく、リターンの予測は非常に難しいといわれている。ROBO PROではそのリターン予測にAIを活用した形だ。

 具体的には、「投資家やファンドマネージャーの思惑をポートフォリオに反映するときに実務でよく使われる、ブラック・リッターマンモデルを使っている」と廣瀬氏。

 単純な平均分散法では、予測したリターンのわずかな変化が、ポートフォリオに大きな影響を与えてしまう。この影響をマイルドにするモデルだ。市場平均からリスクを元に逆算して内在して想定されているリターンを導く。ここに、AIによるリターン予測を、ベイズ推定を用いてブレンドし、各資産のリターン予測をアップデートする。このリターン予測とリスクを使って平均分散法でポートフォリオのバランスを決定する。

 「モデルでは考慮できないリスクもある。1銘柄に集中的に投資しないように、50%以上は持たないという制約を加えている。ただし、挑戦したのは配分の下限を0%にしたこと。これまでは最低5%だった」(廣瀬氏)

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