AIが投資する時代 「FOLIO ROBO PRO」はAIで何を予測するのか(4/4 ページ)

» 2020年02月10日 15時55分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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バックテストは好調

 ROBO PROのモデルを使ったバックテストの結果では、2015年のチャイナ・ショック後の12月、株式比率を抑え、金を32%も組み込むというポートフォリオを組んでいる。結果、16年の下落を回避することに成功している。

 18年は株式市場が膠着した年だったが、好調だったのは不動産だ。同じくバックテストでは、債券比率を37%まで高めつつ、不動産に31%を回すことで大きくリターンを獲得した。

18年6月は、不動産に30%以上を振り分けるポートフォリオをアルゴリズムは導き出した

 18年末の大幅な株価下落を受けて、19年1月のタイミングでは米国株比率を40%とするなどリスクを取ったポートフォリオに変更。結果、19年の好調な株式市場の恩恵を受けることができている。

大きな下落直後の19年1月、株式中心のポートフォリオを提示。結果としてその後の好相場の恩恵を得ている

 FOLIOが公開しているバックテストのグラフはリターンのみを示しているが、「(リスクに対するリターンの比率である)シャープレシオは、一般的なロボアドと比較して改善している。またシャープレシオの改善に伴い、リスクも低減する結果となった」と廣瀬氏。具体的なシャープレシオの値は開示していないが、単なるパフォーマンスではなく、リスクを重視してポートフォリオを組み上げるモデルだ。

AI活用するも、コストは一般的なロボアド同等

 AIの活用、ダイナミックなポートフォリオの調整。こうした仕組みを盛り込みながら、コストは従来のロボアドと同等の、預かり資産額の1%とした。「人間が運用するスタイルではないので、低コストの運用ができている。アクティブに運用する投資信託と比べれば、手数料は低いのではないか」と石坂氏。

 ただし、バックテストの成績はあくまで過去の「たられば」であり、今後も同じような結果が出るかは分からない。モデルの巧拙だけでなく、学習に使ったデータが適切で十分かという点もある。例えば米国債金利は80年代から継続的に下がり続けて、インフレも数十年にわたり低く抑え込まれてきた。これらがこのまま続くという保証はない。

 しかし、従来高いコストをかけてファンドマネージャーが分析し、反映させてきた将来の見通しを、ROBO PROでは低いコストでポートフォリオに反映できるようになった。機関投資家のサポートにAIを使うことは増えてきたが、個人向けの資産運用においても、AIが身近になってきたといえるだろう。

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