スマホ決済、使わないと“旧人類”に? 稼ぐ人ほどキャッシュレス派、そう考える理由必要な「取りあえず」の精神(2/4 ページ)

» 2020年02月13日 05時00分 公開
[横山信弘ITmedia]

使い勝手はよくないかもしれない、でも……

 私はこのとき、社長との関係を考慮して特に何も言わなかった。しかし、腹の中では、「社長だって、組織改革に及び腰のミドルマネジャーと同じじゃないか」と思っていた。そして、「新しいことをするのに、なぜあんな臆病になるんだ」と私も言いたかった。

 かつては給料を、現金で支給していた時代があった。現金の方が「ありがたみ」を感じるのも理解できる。しかし、今は給料明細でさえ、ほとんどの企業が電子化している時代だ。それに対し、私たちは不平を言うだろうか。どんなに現状維持を望んだって、やがて変わるものは変わる。どうせ変わるのなら、自ら進んでやった方がいい。

 キャッシュレス、特にスマホ決済は、スマホを持つ全ての人がやるべきだと思っている。スマホ決済は、カード等にお金をチャージして使うだけの電子マネーより、設定や使い勝手は確かによくないかもしれない。しかし、マネー活用の幅が大いに広がるし、いろいろな可能性を秘めている。

かつては給料も「現金手渡し」だった(画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ)

スマホ決済は「DX」だ

  デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉をご存じだろうか。よく知っている人もいれば、名前だけ聞いたことがある、という人もいることだろう。最近、企業が業務効率化や組織変革のために注目している単語だ。似ている言葉に、「デジタライゼーション」というものがある。こちらは「移行」を意味し、「変容」という意味のデジタルトランスフォーメーションとは異なる。しかし、混同している人も多いように感じる。

 例えば、アナログなものを単にデジタル化することがデジタライゼーションだ。電子マネーは、現金をチャージする「お金のデジタライゼーション」であって、厳密にはデジタルトランスフォーメーションではないと私は受け止めている。

 しかしスマホ決済は、デジタライゼーションではなく、「お金のデジタルトランスフォーメーション」だと私は考えている。まず、アプリを活用することで個人間送金ができる。旧来であれば、銀行口座を介する必要があり、それには手数料も必要だった。それが、スマホ決済を使えば無料で送金ができる。また、いずれは自動で家計簿を生成し、確定申告の作業まで簡単にできたりするかもしれないし、途上国のある事業に貸し付けを行うソーシャルレンディングまで手を広げることも可能になったりするかもしれない。

 つまり、このツールを使うことで、これまでのお金の概念が「変容」してしまう。単に「還元率」を考え、損得勘定で利用するとかしないとかではない。本当に大事なことは、スマホ決済を使うことで、利用者である私たちの思考そのものが「変容」していくことにあるのだ。

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