スマホ決済、使わないと“旧人類”に? 稼ぐ人ほどキャッシュレス派、そう考える理由必要な「取りあえず」の精神(1/4 ページ)

» 2020年02月13日 05時00分 公開
[横山信弘ITmedia]

 「え、現金しか使えないんですか?」

 たまにだが、ついつい、こんなことを口にしてしまうことがある。クライアント企業へコンサルティングセッションへ行く途中のことだった。現地に早く着きすぎたので、部下と近くの喫茶店に入った。20分ほどコーヒーを飲んで時間をつぶし、コーヒー代を2人分支払おうとした。そうしたら、PayPayも楽天Edyも、Suicaも使えないことが分かり、驚いてしまったのだ。

 私はため息をついた。現金しか使えないぐらいで、不平を言ってはいけない――。そう思いつつも、財布から紙幣と小銭を取り出すとき、何とも言えない煩わしさを感じた。今、この時代にキャッシュレスへ対応しないだなんて、ビジネスセンスが低すぎる。目先の手数料とか、導入の手間などを考えている場合ではない。これは利用者にとっても同じことだ。

 はっきり言おう。ビジネスで稼げる人ほどキャッシュレス派で、稼げない人ほど現金派だ。

「稼ぐ人」ほどキャッシュレス派?(画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ)

現金じゃないとお金を使った感じがしない?

 コンサルティングセッションが終了し、支援先のクライアント企業の社長とミーティングをした。この会社では、組織改革に及び腰のミドルマネジャーが多く、私たちは手を焼いている。

 「新しいことをするのに、なぜあんな臆病になるんだ!」と社長の不満は爆発寸前だ。新しい事業がいっこうに軌道に乗らないのは、ミドルマネジャーたちの意識が足りないのだと決めつけている。

 成熟期を迎えた既存事業では企業の発展が見えないと、社長が新規事業をスタートさせたのは1年前。しかし、組織内の理解者がなかなか増えなかった。孤軍奮闘の社長を助けるために、われわれ外部のコンサルタントが支援に入ることとなった。支援がスタートして3カ月が経過したが、現時点ではまさに「笛吹けども踊らず」といった状態が続いている。いつになったら、組織は現状維持を打破するのだろうか。

 セッションの後、社長と、私の部下とともに3人で夕食へ向かった。その際、たまたま今日寄った喫茶店が現金しか使えなかった、という話になり、キャッシュレスに関する話題となった。この話題を出したのは、私の部下だった。

 「今どき、現金しか使えないだなんてと、不平を言うんですよ」と私の部下が言うと、社長も「大げさですね、横山さん」と、部下に同調した。

 「自動改札がない駅を利用したみたいな、本当に大げさな驚き方と言い方でしたよ」と言う32歳の部下は、スマートフォン決済など一切やらない、“完全無欠”の現金派だ。支援先の社長も、現金派。「現金でないとお金を使った感じがしない」と言って、2人ともスマホ決済や電子マネーには全く手を出さない。

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