1日だけのロマンスカー・ゼルビア号 「歩く楽しさ」でファンを増やす、小田急の狙い杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/4 ページ)

» 2020年02月21日 07時30分 公開
[杉山淳一ITmedia]

運転士、車掌、ガイドは「小田急電鉄サッカークラブ」のメンバー

出発進行の合図をするゼルビー君。サポーターから大人気

 さて、各駅停車よりゆっくり走るロマンスカー、そのダイヤの理由は「新百合ヶ丘駅の引き上げ線で待機」だった。もともと臨時列車だからダイヤはスムーズになりにくい。定期運行する列車の隙間に走らせる。ならばと列車をプラットホームのない線路に入れて待機させた。その動かない時間をどうするかというと、サポーターとポポヴィッチ監督、岡田選手、佐野選手の記念写真タイムに当てられた。

サインしてもらって記念撮影、思い出の1枚。シートのヘッドレスト部に乗せているスカーフは持ち帰りOK

 監督、選手ともに一つ一つの座席を巡り、しゃがんだり、隣の席に座ったりと丁寧に撮影していく。なるほど、この時間は列車が停止している方が都合がいい。イベント内容と運行ダイヤ、どちらが先に決まったかは分からないけれど、見事な連携ぶりだ。

 ちなみに、「FCゼルビア号」の企画、運行、当日の案内役は全て、小田急電鉄サッカーチームに所属する社員さんたち。運転士も車掌もサッカーチームのメンバー。見事な連携だ。

運転士さんも車掌さんも「小田急サッカークラブ」のメンバー。車掌さんはチームのキャプテン

 小田急電鉄、FC町田ゼルビア、町田市、選手、サポーター、小田急職員、みんなで力を合わせて成功させたイベントだ。サポーターは「FC町田ゼルビアを応援して良かった」と思うし、こんなイベントを仕掛けた小田急電鉄も好きになってくれるはず。参加者のうち、子どもたちは、選手よりもマスコットキャラクターのゼルビーや電車に夢中な姿もちらほらと。未来の大人たちが小田急を好きになってくれたら、こんなにうれしいことはない。

佐野選手の新宿駅到着案内放送。ポポヴィッチ監督と岡田選手は出発時にあいさつしていた

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