金融機関のデジタル活用〜デジタル活用のヒントを探る〜
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» 2019年12月23日 07時00分 公開

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:「北斗星」の現状に失望と期待 鉄道クラウドファンディング“成功の条件”とは (1/6)

「北斗星」の保存を目的としたクラウドファンディングに参加したが、現地を訪れて、車両の傷みが進んだ姿にガッカリした。だが、今後に期待できる事業も動き出した。車両保存はゴールではない。維持補修作業のスタートだ。将来を見据えたプロジェクトでないといけない。

[杉山淳一,ITmedia]

 北海道新聞が12月8日に報じた記事によると、北海道北斗市で保存されている寝台特急「北斗星」の客車をゲストハウスとして活用すべく、認可取得などの準備が進んでいるという。1人用と4人用の個室を15室用意し、洗面所やシャワーを使えるように約500万円かけて改装する。使用料金はどちらも1室1万円。予約はAirbnbを介する。収益は車両の補修費用に充てるという。

 これはとても良いことだ。修復費用のためにクラウドファンディングを募るという案もあるだろうけれど、すでに一度車両保存のクラウドファンディングを実施している。それでは補修作業のたびにクラウドファンディングを繰り返すことになる。何年か後に朽ちると分かっているものに投資したい人はいない。それに比べて、保存車両の事業化は正しい。知恵と手間をかければ目的は達する。その良い例になればいいと思う。

北海道北斗市で保存されている寝台特急「北斗星」の客車。道南いさりび鉄道茂辺地駅から徒歩5分

傷みがひどくガッカリした「北斗星」

 2019年9月、北海道北斗市の北斗星広場を訪れた。寝台特急北斗星の客車を見て、傷みが進んだ姿に驚き、ガッカリした。私はこの車両を保存するためのクラウドファンディングに参加した。しかし、こんな醜態をさらすために資金援助したつもりはなかった。こんな状態を予測できたら参加しなかったと思う。私の見識不足だ。

 客車内にはクラウドファンディングに参加した人々の名前が掲示されている。そこにはもちろん私の名前もある。鉄道史としても、旅行文化としても価値があると考えて参加した。ここに掲示された名前は、この客車の価値を理解し、保存に貢献した人々。ここに掲載されることは名誉の証になるはずだった。しかしどうだろう。今となっては、この醜態さらしに加担したわけだ。

 塗装が剥げ落ち、錆だらけの車体を眺めると、ふつふつと怒りがこみ上げてきた。自分の浅はかさを恥じるだけではない。私はこのプロジェクトに賛同し、これを含めて鉄道車両保存のクラウドファンディングを紹介する記事をいくつか書いた。北斗星に関していえば、JR北海道が諸事情で自前の博物館を持てない状況で、有志が解体から救ってくれたと称賛さえした。その記事を読んでプロジェクトに参加した人もいらしたことだろう。本当に申し訳ない気持ちである。

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