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» 2019年12月23日 07時00分 公開

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:「北斗星」の現状に失望と期待 鉄道クラウドファンディング“成功の条件”とは (2/6)

[杉山淳一,ITmedia]

周辺整備より補修が先ではないか

 実は、クラウドファンディングに成功した後のプロジェクトの動向に違和感があった。客車が廃校のグラウンド跡地に設置された後、ここで何が行われたかというと、地元有志と北斗市の支援で広場が整備された。現地に行くと、客車の手前に大きな花壇が作られている。そこは花で埋め尽くされていた。とても良い景色だけれど、花を維持するだけでもそこそこの費用と労力が必要なはずだ。

 しかし、なぜ、広場の整備なのか。客車を覆う屋根をつけて、痛みを少しでも遅らせるほうが先ではないか。あるいは、錆が浮き、傷んだ塗装を修復するほうが先ではないか。北斗星を見に来る人々は、花ではなく客車を見に来るのだ。傷んでいく車体のそばで花壇作りなど、発想がお花畑だ。

北斗星広場として花壇が作られていた。美しい彩りが、かえって客車の傷みを強調するように見える

 北斗星を見に来る人々をもてなすために、小さなラーメン屋とカフェが作られたらしい。「らしい」という理由は、現地に行ってみたけれど、営業していなかったから。午後2時過ぎに訪れて、客車を外から中から見物し、帰りに寄ろうと思ったら閉店してしまった。午後3時に閉店するそうだ。分かっていたら先に寄ったのに。

 車体の修復と屋根の設置が先ではないか。北斗星の客車そのものに見る価値がなくなったら、広場も花壇も商店も存在価値がない。ただ、公衆便所だけはありがたかった。客車内のトイレは使用禁止だったからだ。

現役時代も塗装が傷んでいたとはいえ、修復されないまま。辛うじて屋根は修復され、客室への風雨の浸潤を防いでいる
1人用個室。客室内は現役時の状態が保たれている

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