2020年4月から日本でも「同一労働同一賃金」が始まる(中小企業へは21年4月から適用)。いわゆる「正規雇用労働者」と「非正規雇用労働者」との間にある「不合理な待遇格差」を是正することを目的とするものだ。「同じ労働であれば同じ賃金を払う」といえば分かりやすいが、実際の導入にはいくつものハードルがありそうだ。エン・ジャパンが発表した「500社に聞く『同一労働同一賃金』実態調査2020」の結果を見ると、そんな実情が見えてきた。
調査では、企業に対して同一労働同一賃金を知っているか質問。「内容も含めて知っている」(33%)、「概要だけ知っている」(57%)を合わせて9割の企業は制度について認知しているようだ。一方で、実施時期については「知らない・分からない」が25%と、青写真を描けていない企業も一定数存在する。
では、対応している企業の状況はどうか。先の質問で実施時期を「20年4月」と答えた企業では、5%が「既に対応が完了」と答えた。「対応が決定し、対応中・これから対応予定」と答えたのは40%で、4月を前にしてもまだ半数以上の企業が対応を検討できていないようだ。
なぜ、対応が進まないのか。同一労働同一賃金に関して難しいと思う点を聞いたところ、全体では「不合理であるかどうかの判断」(53%)と答えた企業が最多。同一労働同一賃金に関しては、厚生労働省が原則や不合理と判断する具体的事例などを示したガイドラインを発表しているが、それだけでは不十分だと考える企業も多そうだ。その他には、「人件費の増加」(45%)、「待遇差の理由の確認」(41%)などが並んだ。
同一労働同一賃金についてどう思うか聞いたところ、否定的な意見の方が多かった。「良いと思わない」「あまり良いと思わない」を合計すると47%。一方、「非常に良いと思う」「まあ良いと思う」を合わせると41%だった。否定的に感じている企業からは「派遣労働者の苦しい声のみを取り上げ、派遣労働者である程度満足している人たちの声を聴いてない」「人件費がさらに上がる」といった声が上がった。
調査は19年12月11日〜20年1月14日、同社が提供するサービス「人事のミカタ」を利用中の企業503社に対してインターネット上で実施した。
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