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元国税専門官が明かす確定申告の極意 「内容を間違えていても、期限内に申告すべき理由」元国税専門官が教える『確定申告、得なのはどっち?』(2)(2/4 ページ)

» 2020年02月23日 04時00分 公開
[小林義崇ITmedia]
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「正しさ」よりも、期限をまず優先する

 今回のトピックと関連するのは、過少申告加算税と無申告加算税です。期限内に確定申告をしても、本来の税額よりも少ない申告であれば過少申告加算税が、期限に遅れた場合は無申告加算税が課されます。

 ポイントとなるのは、過少申告加算税と無申告加算税は税率が異なるという点です。申告誤りや申告漏れを税務署が把握すると、調査の通知がなされますが、この通知が来た日以降は、正しい内容で申告をしたとしても、過少申告加算税5〜15%、無申告加算税10〜20%の率で加算税がかかります。つまり、期限に遅れて確定申告をするよりも、間違えていたとしても期限を守ったほうがペナルティーは少なくて済むということです。

 さらに見逃してはいけないのは、加算税の税率を掛ける金額の違いです。具体例を出して説明しましょう。Aさんが本来申告すべき所得税が100万円だったとします。このAさんが、「期限内に80万円で申告をしていた場合」と「期限後に申告をした場合」の加算税を比較してみたいと思います。

【期限内に80万円で申告をしていた場合(過少申告加算税)】

(100万円−80万円)×5〜15%=1〜3万円

【期限後に申告をした場合(無申告加算税)】

(100万円−0円)×10〜20%=10〜20万円

 いかがでしょうか。過少申告加算税と無申告加算税は、税率の差以上に差があることが分かるのではないでしょうか。これは算式を見て分かる通り、過少申告加算税の場合、期限内に申告していた税額分は対象にならないからです。たとえ、本来の正しい税額に満たなかったとしても、期限内に一部でも確定申告をしておくことで、加算税を少なくすることができます。

photo 正しい税額に満たなかったとしても、期限内に一部でも確定申告をしておくことで、加算税を少なくすることができる(写真提供:ゲッティイメージズ)

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