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ビジネスパーソンに「第3の場」は必要なのか(2/3 ページ)

» 2020年02月23日 07時00分 公開
[猪口真INSIGHT NOW!]
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サードプレイスはあるか?

 そこで、話題(でもないか)の「サードプレイス」だ。

 サード、3番目というのは、会社、そして家、その次の3つめの場所という意味だが、ここでいうサードプレイスとは、レイ・オルデンバーグという人が、『サードプレイス?コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」』(みすず書房 2013年)の中で語った、「インフォーマルな公共生活の中核的環境」という概念だ。いわゆる、誰でも立ち寄ることができるコミュニティと考えてもいいだろう。

 現代人には、人とのつながりや交流が失われぎみであり、会社でもなく家でもないこうしたコミュニティで、自由でゆるいコミュニケーションやつながりが生まれれば、孤独になりがちな現代人の新たな「場」となるのではないかという考え方だ。

 実はこのサードプレイス、行き場のない中高年の人たちに向けた概念ではない。むしろ、残業なしになり、仕事をしたくてもできないサラリーマン、もっと自分の可能性を追求してさまざまな交流の場がほしい若手のビジネスパーソン、家しか居場所のない主婦など、これまで、積極的にコミュニティを求めてこなかった世代こそ、意義のあるものになる。

 これだけ日本の経済が沈滞し、会社の中に、ロールモデルとなるような先輩を描きづらい世の中になれば、現役のビジネスパーソンは、1日も早く、成長と機会の場を会社ではない場所をつくる必要があるだろう。

 そういう意味では、昔は先輩たちが、仕事が終わるといろいろな店に連れていってくれ、社内外の人を紹介してくれ、若手ビジネスマンの人脈が広がっていった。そういう先輩にあこがれたものだ。

 しかし、残念ながらそうした機会は激減している。先輩たちも同じように、ロールモデルを見失っている。

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