クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

いまさら聞けない自動車の動力源の話 ICE編 1池田直渡「週刊モータージャーナル」(6/6 ページ)

» 2020年03月02日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]
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2種類のエンジンの違い

 日米では60年代からこのNOxの問題に取り組んできた。というより、むしろクルマの排ガスといえば、こういう公害系の部分を指していた。だから早くから対応が進み、世界的に見ても異常に人口密度が高い首都圏でも、現在はPMの問題も光化学スモッグ問題も発生していない。

 しかし、欧州ではこうした公害系の排気ガスは近年まであまり問題にされておらず、むしろ地球温暖化を引き起こすCO2ばかりに注目していた。その結果パリもロンドンも分厚いスモッグに覆われて、惨憺(さんたん)たる有様になったのだ。

 さて、まとめよう。2種類の内燃機関の特徴だ。ガソリンエンジンは、エネルギー効率が低く、CO2では不利だが、ディーゼルよりは排気ガスがクリーンだ。反対にディーゼルは排気ガスがガソリンよりだいぶ汚い。しかしCO2の排出では有利になっている。

 というところまでが古典的な2種類のエンジンの話で、それぞれの最新環境技術がどうなっていくのかは次回以降にお届けしたい。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う。


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