クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
連載
» 2020年02月10日 07時00分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:暴走が止まらないヨーロッパ (1/4)

英政府は、ガソリン車、ディーゼル車の新車販売を、ハイブリッド(HV)とプラグインハイブリッド(PHEV)も含め、2035年に禁止すると発表した。欧州の主要国はすでに2040年前後を目処に、内燃機関の新車販売を禁止する方向を打ち出している。地球環境を本当に心配し、より素早くCO2削減を進めようとするならば、理想主義に引きずられて「いかなる場合もゼロエミッション」ではなく、HVなども含めて普及させる方が重要ではないか。

[池田直渡,ITmedia]

 クルマに関する欧州発のニュースが届いた。

 英政府が、ガソリン車、ディーゼル車の新車販売を、ハイブリッド(HV)とプラグインハイブリッド(PHEV)も含め、2035年に禁止するという発表だ。欧州の主要国はすでに2040年前後を目処に、内燃機関の新車販売を禁止する方向を打ち出している。

 英国政府は、かつて17年8月にも「40年にHVを含む内燃機関の販売を禁止する」と発表し、我が国にもあたかもオール電気自動車(EV)へ向けた規制の発動であるかのように伝えられた。しかしのちに、環境大臣がそのプラン実現のための具体的方策を問いただされ、正式な訂正発表もないまま、いつのまにやら「HVは含まない」と目標を訂正している。

 その前例にこりずにまたもや同じような発表を、しかもスケジュールを5年前倒しにして語ったわけだが、今度こそ明確なロードマップがあるのだろうか? こういう取り組みは前倒しにするほど、意欲的であるように見えるが、結局根拠や方策がないまま早い期限を言うだけなら、「来年から」「来月から」「明日から」みたいなもので、小学生の「ボクの方がお前の1億倍速い!」と何も変わらない。5年前倒しの具体的方法論があってこそ初めて意味を持つものである。

 英紙の報道によれば、ボリス・ジョンソン英首相は、「世界をリードしようとする気候変動への取り組みはカオスに塗れている」とのべ、「50年までにCO2排出を完全にゼロにする」ことを世界に呼びかけた。

2月4日、議長国を務める国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の関連イベントに登壇したボリス・ジョンソン英国首相(写真 ロイター)

 志は誠に美しい。筆者も早期にEVの普及が進むことを祈るスタンスは変わらない。しかし英国政府のやり方は間違っているように思えてならない。例えば、貧富の差をなくすために、年収1000万円以下で雇用することを禁じたらどうなるか? それは雇用の激減を招くだけで、目的はかえって遠ざかる。自動車の環境規制に対して同じようなアプローチを取ろうとしているように見える。完璧にゼロエミッションであるEV(インフラ発電のCO2を見なかったことにして)だけに特化して対策が遅れるよりも、例え完璧ではなくとも、今ある手立てを早期に全部投入する方が成果は大きいはずだ。

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