――これまで勤務された企業は主にメーカーですが、新日本プロレスはエンターテインメント産業でジャンルが違います。これまでの経験をどのように生かしているのですか。
経営面ではメーカーもエンターテインメント企業も取り組むべきことは同じです。プロレスの会社では、興行とグッズ販売が大きな売り上げを占めています。タカラトミーはおもちゃの会社ですから、グッズでは特に経験を生かせていると思います。
グッズの人気商品に「マネくま」があります。文字通り、クマが選手を真似(まね)ているぬいぐるみです。ベースのぬいぐるみは1つですが、選手と同じ衣装や髪形をしています。実は「マネくま」は、タカラトミー時代に私が新日本プロレスに提案して実現した商品です。
――御自身のアイデアだったのですね。
アイデアは私が考えました。デザインはタカラトミー社内のスタッフによるものです。最近では肩に乗るかわいいぬいぐるみの「ぴょんすけ」も開発しました。ぬいぐるみのお尻と、紐(ひも)でつながった小さな板に磁石が入っています。マグネット板を服の下に入れることで、磁石でぬいぐるみをくっつけて、肩に乗せることができます。
大事なポイントは、新日本プロレスの客層に合わせた応援グッズを作ることです。最近プロレスを見ていない方は、客層をおそらく40代以上の男性中心だと思っているのではないでしょうか。実際はまったく違っていて、会場を訪れる観客は約4割が女性です。
――いわゆる「プ女子」ですね。4割も占めているのですか。
20代から40代中心の女性が約4割。約1割は大会にもよりますが、12歳以下の子ども。約5割が男性で、年齢は30代から40代が中心です。全体的に若返っていますから、応援の仕方も変化しています。「マネくま」や「ぴょんすけ」を持って応援すれば、選手も自分のファンだと分かるので、手を振って応援に応えることもあります。それにインスタ映えもしますよね。
――多くの女性ファンの心をつかんだ要因は、どんなところにあるのでしょうか。
木谷オーナーが選手をブランドとして見て、一人ひとりの魅力を伝えようとしたことが大きいと思います。写真集を出したり、テレビに露出したりすることで、肉体美の選手、イケメンの選手、技がすごい選手など、選手の個性を好きになってもらえます。私が社長に就任してからは女性専用のレディースシートも一部導入して、女性が安心して観戦できる環境を積極的に作っています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング