「100日後に死ぬワニ」は、なぜ炎上したのか早すぎる(2/3 ページ)

» 2020年03月23日 11時57分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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マネタイズ批判ではない炎上理由

 Twitterのようにネット上無料でアクセスできるコンテンツは多々あります。しかし永久に無料だとしたら、作家は生きていくことができません。絵やマンガ、音楽、文章その他、あらゆる創作物はマネタイズ(課金)ができなければ生産できません。作品をそのまま売るだけでなく、スポンサーがついて支援する、2次利用などで利益が生まれることで、作者には収益がもたらされます。それを原資に作者は創作活動を継続でき、良い作品を作り続け、供給し続けることができます。

 生前極貧だったゴッホは、画商の弟テオが兄の絵を売りさばき、生活を支えました。作品が何億円もの価値を呼んだのは死後。生前はそんな評価を全く受けること無く、生活に苦しんだゴッホ。課金ができなければ作家は生きられません。今回のワニも、SNSヒット作品として映画化や商業化されること自体は、恐らく大きく批判されることはなかったでしょう。

 ではなぜ今炎上しているのかといえば、それはマネタイズそのものではなく、そのタイミングが最悪だったからです。

麻雀放浪記・ドサ健の教訓

 私が人生を学んだ名作映画「麻雀放浪記」で、イカサマ賽を使うおりんさん(男性)を脅迫する主人公・坊や哲に対し、もう一人の主人公・ドサ健は「おりんのグラ賽なんてみんな知ってる。自分だけが気がついて他が節穴なんて事はない」といいます。みんなわかっているのです。

 テレビが最終回をニュースで取り上げられるまでに成長したこの作品は、SNS時代の成功者です。マネタイズ自体を非難する人はほとんどいません。しかしそれを感動の最終回と同時にぶつけてしまったのは何とも悪手だとしかいいようがありません。書籍化、映画化、コラボ動画など、どれも思い付きで即実現できるわけがないことなど、今の時代誰でもわかります。

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