醜い顔はNG? 事実であれば、TikTokはとんでもないことをしている世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)

» 2020年03月26日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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記事が事実であれば

 近年、米政府から敵視される中国企業は多い。中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が米市場から締め出されたのは大きなニュースになったが、それ以外でも監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)や浙江大華技術(ダーファ)などは、米政府が使用禁止に指定するブラックリストに加えられている。

 こうした疑惑の一方で、TikTokを楽しんでいるユーザーが多いだけでなく、広告も配信することができるので、興味を示す会社も多いかもしれない。また米国などから噴出する批判が事実かもしれない半面、米中の対立に巻きこまれているだけなのかもしれないと見る向きもあるだろう。

 それでも、インターセプトの記事が事実だとすれば、TikTokはとんでもない人権侵害を行なっていることになる。また米国の訴訟で浮上している疑惑も真実ならばプライバシーも侵害していることになるし、中国政府のスパイ活動にも加担していることになる。

 とにかく、TikTokは人気ゆえに注目度も高い。引き続き、その動向も注視しておきたい。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。


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