――この考え方の変化は、働き方改革にもつながりそうに思います。
量より質が問われるようになりましたね。もちろん、何事も最初はやった時間の量で決まるとは思うんですけど、ある一定の基準を超えると伸び率が鈍化してフラットになっていきます。そこからは、練習法とかも量より質が問われるようになると考えていますね。
――「新・ときど式」では「負け」から答えを得ようとするなど、PDCAサイクルにも通じるものがあると思います。こういった思考法は実用書などから学んだのでしょうか。
実は僕、本をほとんど読まないんですよね(笑)。あくまで純粋にゲームを通じた競争から学んでいったのだと思います。
――となると、ときどさんは無意識の中で、アジャイル的なものを実行されていたわけですね。
やはり日々対戦相手がいて、その対戦相手も変化していくので、こちらも短いスパンで変えていかないと間に合わなくなっちゃいますよね。前は僕の対戦相手って僕とすごいレベルの違う人だったので、そんなことは必要なかったんですけど、今はもう毎日自分と同じレベルの対戦相手で、相手もプロなわけです。一日一日すごい変化をつけてくるので、昨日やった戦い方で次の日また勝てたら、それは向こうがサボっているなということにもなりかねないわけです。
――今ではときどさんは「負け」から積極的に学ぼうとしています。ときどさんにとって「負け」とはどういうものなのでしょうか。
「負け」は今でも嫌なことですね。勝ちは普通にうれしいです。そこに決定的な違いがあるんですよね。やっぱり次負けたくないからこそ、失敗の原因をつぶしていく原動力に僕はなっています。
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