軽減税率で優遇される「新聞」が今こそやるべき、新型コロナ情報の“無料化”世界を読み解くニュース・サロン(4/6 ページ)

» 2020年04月09日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

朝日新聞が「無料公開」を発表したが……

 この記事の掲載準備をしている最中、こんなニュースが飛び込んできた。朝日新聞が、カナダのナショナル・ポスト紙の発表があった1週間後の4月7日、「新型コロナウイルス感染拡大への対応で記事を原則無料で公開いたします」と発表した。「朝日新聞デジタルがお届けする迅速・正確なニュース情報をご覧いただくことで、不確実な情報による皆様の不安やストレスを軽減し、心身の健康維持の一助となることを願っております」という。

 ただ残念なのは「ご利用いただくためには、こちらから無料会員へのご登録をお願いします」というハードルがあることだ。これではせっかくの無料公開も拍子抜けで、登録を躊躇(ちゅうちょ)する人は少なくないだろう。

 事実、過去の調査では、インターネットを使う上で「ユーザー登録が面倒」という声が6割を超えていたり、「約80%のユーザーは会員登録時に不安」という調査結果が報じられたりしている。海外の調査でもそれは同じである。

 ユーザー登録させ、後の「販促」につなげようとしているのではないかと訝しむ向きもあるだろう。朝日新聞が嫌いでしょうがない人たちなら、「混乱に乗じている」と批判する人もいるかもしれない。

 公益性を第一に考えるなら、そこは思い切って「無料公開」してほしいものだ。

 ビジネス的に見ても、社会に貢献する新聞メディアとして、イメージアップにもつながるかもしれない。新聞が読まれなくなったと言われ、発行部数の減少が止まらない昨今、デジタル方面で力を入れる意味でも、公式サイトのニュースをしばらく無料で開放してみるのも一案ではないか。

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